着物初心者への教訓

　友人は本当に着物初心者です。洋装でも立ち姿はそうそう美しくはありません。というのも「他人に見られる」という事を意識した事がないそうで、大抵結婚し専業主婦になればそういう考えになるのかもしれませんが。それでも子供が就学すれば自然と大勢の前に出る機会もふえます。そんな時に年齢に不似合いな服装と立ち姿は返って目立ちます。何も容姿や体型ばかりの話ではなく、ちょっとした立ち姿も歩く姿も「おばさん」になってしまっていて、非常に残念に思っていたのです。お友達になってから、着物を着る私にそそられて同じく着物を着るようになったのですが、どうしても「垢抜けない」。でも誰にでもそういう時期はあるでしょう？成人式の着慣れない着物に四苦八苦する姿は初々しくもあり、ほほえましく見える事もありましょう？

　で、今回の展示会に一緒に出かけることになり初めて着物で二日間を過ごす決意をしたわけです。しかし同じ支店からの他の招待客の一言で非常に落ち込んでしまったのです。「あんた、着物着たことないんでしょ？可哀想よ。」ずけずけいうおばちゃんです。たまたま他の事で縁がある方なので、「まあ誰にでも最初の一歩はありますよ。それが今日なのであって、暖かく教えてあげて下さいね」とやんわりしかししっかりと釘を刺したのです。その後はおばちゃんおとなしくなりましたけど＾＾；

　そうです。最初に着物で出かけてみようと決意するには勇気のいる時代になってしまったのです。もったいないですね。せっかくの日本文化なのだし、しかも着物の展示会に行くのですよ。呉服屋さんのご招待旅行なのに。何故こうも非難するのか・・・。理解できません。

　でも本当は気の毒だったのです。歩くのにも草履がぱたぱた。裾ははだけて胸元もだんだん着崩れてきます。でもまあ、ベテランが揃っていますからトイレに引っ張り込んではあちこち直します。ちょっとしたコツが分かれば自分で直せるのです。それを億劫に思ってはいけません。着崩れ大いに結構。直せば良いのです。次回から着崩れしない着付けを覚えるだろうし、どうすれば着心地良く過ごせるのか、まずはやってみないことには始まりません。

　また結婚してから１５年。実家への帰省以外旅行をしたことが無いそうで、旅行鞄もないし、何を持っていけばいいのかも分からないし、電車でもどうしていいのか分からない。全部面倒を見ている内に私が「キレ」てしまいました。まあそれも人生経験です。

　でも楽しかったと言ってくれて、良かったと思いました。疲れただろうにと本当に気の毒なのですが、私は和服の方が疲れないのを知っているので、早くその案配を知って欲しいと願うばかりです。

　翌日の出張も和服で出かけました。男性ばかりの企業のなかで、重役のポストに就きながら和服で講習会や会議、イベントに出席する姿は相当目立ちます。でもすぐに覚えて貰える利点もあるのです。

　さて、かのうるさいおばちゃんですが、実は私に弱みを握られているので、正体がばれると後は借りてきた猫のようでした＾＾；世間は狭い物ですねえと切り返してにんまり・・・・。

　性格悪いのは私でしたか？