青い空、白い雲。浜通り独特の冬の景色。風が強く砂埃が舞うがこれもまたいい。雪景色の中通から雪のない浜へと急ぐ。朝一番で起きたのはツレ。「お~いおきろ」とストーブを付けてくれる。時計を見ればもう出かける30分前だ。昨夜はいろいろ考えていて眠れなかった。遠足前の子供の様だ。
馬事公苑でエントリー。機材を借りて自宅へ。今回は墓参りも許されているので自宅手前の墓地へと向かう。蔓が伸びて墓石に絡まっている。それでも新しい墓石は倒れずにきれいだ。作りかけのところもある。古いところはずれたり落ちたりしているが、ほとんどは大丈夫なようだ。
そこから自宅までは道が陥没していたりしていたが、以前よりはだいぶいい。垂れ下がっていた電線も直されていて、危険個所は少なくなったようだ。
自宅で今回持ち出すのは白鷹お召という夏着物と息子の着物。ノリタケのディナーセット。集めていたカップ類。幸いにも割れていなかったので助かったが足元は酷い。
仕事の書類も少し持ち出す。
ツレと二人リビングで食器を詰めていた時不意に音楽が流れた。「ん?」とみれば壁にかけた時計だ。「すご~いちゃんと動いているんだ」と愛しくなって連れて行こうよ・・・というとツレも「そうだなぁ、寂しかっただろうな」と言いながら壁からそっと外す。
玄関にあるお守りの唐辛子の飾り物とバリ島の女神に「家を守ってくださいね」と念を押した。
今回は隣の音楽室にも入る。震災後初めて入るのだがこれまたすごい状態。ペルシャ絨毯は諦めるしかないのか?とにかく頼まれている楽譜を探し、袋に詰める。
さすがに人に貸していた二階は上がる気になれないのでそのまま家をでる。
避難区域の見直しで賠償も変わるという。我が家はどうなるんだろう。長期居住制限地区になるはずだから・・・・・。30年は帰れないだろう。でもとにかくは前に進めるだけの心は出来てきた。
独り留守番していた長女が荷物運びを手伝ってくれてスムーズに部屋に荷物を入れる。「部屋が狭い!」と文句を言うが仕方ないのですよ・・・。あるだけいいと思いなさい。とたしなめる。仮設住宅はこうはいかないからね。
帰ってから一休み。やはりまだ体調が戻っていないのか非常に体が重い。喘息も酷いのは埃とツレのたばこのせいだ。新築の家では吸わないというが・・・・。車は諦めるしかないのか?
これから本格的に引っ越しをする人が増えるでしょうから、もっと寂しくなるのかな。