グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

田植え後に氷!それでも耐える苗をつくる。

2023-03-16 11:13:46 | Weblog
田植え後に氷!それでも耐える苗をつくる。
前回は 早期水稲の田植えの時期を見極めるのに生物や植物を使う
というおはなし[​こちら​]でしたが、今回はそれに加えて 寒さに耐
える丈夫な苗をつくろうよというおはなしになります。


3月中旬からはじまった宮崎県沿岸部でのコシヒカリの田植え。植
え付けられたばかりの苗は、植えられているかどうかよく見ないと
わからないくらいに小さいもの・・・そんな苗の状態が、最低気温
12度以上になって 苗が順調に生育してくるまでの間は続きます。

その植え付けらればかりの田の苗を襲うのが、そう寒さと強風です。

たとえば数年前の寒波の例では、

3月29日01度 ・ 30日マイナス1度 ・ 31日02度

といったような寒さがありました。こうなるとかなりの確率で田に
氷が張るのです。特に寒い年の例でいけば 田植えしてから3回に
わたって氷が張った
”という農家さんもおられたほどですから、その
寒さの厳しさがわかります。

さすがにこのような氷が張る寒さがくるなると、果たして植えられ
たイネは大丈夫なのかとおもってしまうのが人情です。しかし最近
では それでも寒さによる枯死 がすくないんです。

なんといってもイネはもともと熱帯産の植物なのですから、これっ
てほんとに不思議でしょう?

そのような寒害に強いイネ苗の秘密。それは前回の田植後の水管理
の大切さ
にもありますが、それに加えて 最近の苗作りの方法にも
理由があります。

その寒さに耐えるように作る苗作りの技術。これは

  よい種を使う 
  苗箱に蒔く種の量を多くしすぎない
  よい土を使う 
  適切な育苗期間を守る
  育苗中には リンサンと苦土を効かす
  田植え前に 液肥のべんとう肥を施す

といった基本技術の励行によります。基本技術を徹底することで、
寒さに強い苗ができる。

これを農家さんに説明する言い方でいえばですね・・東北の普通作
によって栽培されたコシヒカリの種を宮崎にもってきて、卵が飛び
出すほどの塩水選をかけて種子を選抜。その種をPHとECをきち
んと調整した土に薄まきして播種後30日くらいまでの老化させな
い期間に、田植えに最適の大きさの苗に育てて、そのうえで田植え
する
・・・ということになる。

といったわけで今回は、早期水稲における成功はまずは寒さに耐え
る苗を作ることにある
農家さんの栽培にかける情熱のはなしでも
ありますよね
〕というおはなしでした。


晴れ 気温が12度超えると会話もできないくらいの大音量で鳴く
  冬眠から目覚めたばかりの田んぼのカエルたち。しかしこれ
  が最低夜温が10度を下回るとおもしろいくらいに 一斉に
  シーンとなるのですから、これもまた見ものなんですよ。
  
51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜

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