前回の2007年4月11日分の採録である インド農民の危機 。今回は
つづきの 2007年4月12日分となります。参考までによろしかったら。
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『 “白い金”とよばれる作物。2007年4月12日分 』
綿花の別名、それが「白い金」です。途上国の綿にたいする希望が感じ
られる名前ではありませんか。
しかし 途上国の期待に反して、下がり続けているのが綿の国際価格。
2003/04年には1キロ当たり42セントだった綿価格。
2004/05年には35セント、
2005/06年には33セントにまで下落。
そして
2006/07年の統計は30セント付近になるともいわれています。
・・・途上国重視へ進むものとされ、綿の国際価格低下に対する歯止め
になるかもと期待された世界貿易機関(WTO)のドーハ開発ラウンド。
しかし 同ラウンドは昨年7月に失敗に終わり、 途上国の綿花農家は
このような 再生産さえ危ぶまれる事態におちいっているのです。
なんともやるせないはなしですよね。
途上国の貧困の問題を解決していくには、途上国における健全な農業の
育成が不可欠〔先進国の一時的な援助よりも〕。健全な農業の発展こそ
が、途上国の農民・国民を貧困から救うといわれて久しいというのに。
このような綿の国際価格の低下傾向が続いていくかぎり、ニューヨーク
タイムズがとりあげたインドの綿農家・シェンデさん〔インド中西部の
1.5ヘクタール規模の綿農家・享年31歳〕のように、借金の金利の
ために自ら命を絶たねばならない途上国の農家は、これからも続出して
いくにちがいありません。
それにしても。このような事態を引き起こしている綿の国際価格の低下
ですが、 なぜに 国際価格は さがってしまったのでしょう。
主たる原因とされているのは、
それは先進国の政府〔特に米国〕が自国の綿農家に与えている巨額の補
助金だといわれています。NGOのオックスファムによると米国の綿農家
は2004年から05年にかけて約10億ドルの補助金を受け取ったと
報告しています。
このような多額の国内補助金を補てんされることで 不当に競争力を高
めた米国産の綿、それこそが国際価格の低下を誘い、その低価格がインド
や西アフリカの綿農家の生活を圧迫し、結果として ジェノサイド/大量
虐殺を引き起こす大きな要因となっているらしいのです。
前述の世界貿易機関(WTO)のドーハ開発ラウンドが行き詰った 昨年
7月末のインドのナート商工大臣のコメントをご紹介して話をお伝えして
今回の 悲しいはなしは おわりです。
「米国は農業補助金が農産物の国際価格に深刻なゆがみを引き起こし
ている事実を認識すべきだ。米国の補助金がインドの農家の生存を
危機に陥れている」
経済の国際化は世界の人々に恩恵をもたらすと国際機関や米国
を通じて喧伝されつづけてきた世界貿易機関(WTO)やグロー
バリズム。しかし実際には、多くの国々とくに途上国や各国の
貧困層に深刻な格差をもたらす存在となっているのも、それも
また真実 であるようですね。
「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」