グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

野菜/農産物の衛生的な生産方法について。

2019-09-30 22:44:13 | Weblog
​​​野菜/農産物の衛生的な生産方法について。

いまでは一般的となってきた野菜の衛生管理。そんな衛生管理の面か
当時はまだ珍しかったらGAP/適正農業規範をご紹介した記事となり
ます。衛生管理という面からGAP/適正農業規範で育てられた農作物
は、おすすめですよ・・・ ということで2010年分の再録ですが、
よろしかったらご参考に。

 ↓

市販の野菜に付着している細菌や大腸菌の仲間は

 野菜1グラムに対して10000~100000個

といわれています。これって考えようよってはととても多いように
も思えますよね。でも、大丈夫。この数字の値は、たとえば椅子や
机といった家具にもついているくらいの値なのだそうです。
このように地表から地下部の微生物や昆虫や動物といった生物の存
在し生活している土に接触して生産される農産物には、いろいろな
菌やさまざまな小動物が付着していてあたりまえなわけですが・・・

けれど。問題はこのブログでも たびたびとりあげてきたO-157を
代表とする病原性の大腸菌群です。こういった種類の病原菌は、

 数十個から数百個で人への感染をひきおこす

わけですから、じつに厄介で要注意な存在となります。もし、病原
性の大腸菌群がついた野菜が消費者の手にわたり、その後購入者の
洗浄が不十分なままに生食された場合は、食中毒を引き起こす可能
性が大きくなるわけですからね。
そこで、こういった種類の病原菌を生産物である農作物に付着させ
ないような努力をおこなう必要が生産現場に要求されることになる
わけですね。

しかし。わずか数十個から数百個で感染する可能性のある病原菌を
付着させないようにすることは、一見とてもむずかしそうに思えま
す。けれどそこには原則がある。そう、『O-157やサルモネラ菌な
どの病原性微生物は家畜のふん尿のなかで生殖・増殖する微生物で
ある』という原則です。まずはこれを押さえる。
そういった考え方のもとで、『家畜のふん尿』を念頭において対策
をしぼって管理していくとすれば、野菜への病原性の大腸菌群の付
着を少なくすることは、かなりの確率で可能となります。

そこでまずは生産現場における、菌が付着している可能性のあるも
の/汚染源をつぎに記してみました。

■ 農場段階での病原性微生物の汚染源

  収穫前・・・・家畜のふん尿・土・栽培に使用する水
          ごみ・ネズミ・ハエ・作業者・生産用具

  収穫後・・・・人のふん便・洗浄水・運搬器具・運搬車
         作業者・貯蔵庫・小動物・段ボール

といったものが汚染源として考えられます。したがって、これらの
考えられうる汚染源をつねに検査し消毒することで、生産現場にお
いて、病原菌の付着していない可能性の高い安全な野菜を提供でき
るものとかんがえられています。

そして、もうひとつ大事なことがあります。それは・・・記録。

たとえば、「いつ・だれが・なにを・どういうふうに」消毒したか
を、こと細かに記録としてのこしておくことが大事です。記録を残
すことも、生産する側としてつねにかんがえておかねばならない重
大な事項なのです。

以上、今回ご紹介してた野菜の衛生管理の考え方は『適正農業規範
/GAP』 とよばれる、農業の各段階で衛生管理を実施していこう
という考え方です。これからの農業のあり方を考えると、避けて通
れない大事な考え方だとおもいます。生産段階の次のステージであ
る流通・小売の段階のHACCPと併せて行動すれば、鬼に金棒ってか
んじでしょう。。
前々回のカイワレ大根業界といい、今回のGAPという生産活動と
いい、こういった生産現場からの努力に対しては・・・農業関係者
にプラスして、いち消費者としての立場からも評価してあげたい
持ちでいっぱいです。

ちなみに HACCP。

こちらは1960年代に米国で宇宙食の安全性を確保するために開発さ
れた 食品の品質管理の手法です。 食品の製造工程全般を通じて危害
の発生原因を分析し、重要管理事項を定め、より一層の安全確保を
図る科学的管理法式といわれています。


晴れ ここからは2019年現在の参考資料のご紹介。
  たとえば、あんなに防いでも感染の止まらない豚コレラ。
  気をつけているはずなのに、イノシシや機械や作業者にも
  付着してしまう菌についての回は ​こちら​。
  そして人に影響のない豚コレラはいいとしても、たとえば
  そこから推測してもらいたいO-157の生活圏に関する話は
  ​こちら​。
  そして・・・O-157を保菌した・イノシシが圃場に侵入した
  ことが原因とされる、米国においての野菜によるO-157
  発生があった事実
も、いま農業生産者は知っておくべきだ
  と思います。
  
51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜





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コガネムシ、コガネムシ、コガネムシ。

2019-09-27 23:42:38 | Weblog
コガネムシ、コガネムシ、コガネムシ。

秋雨が続いて日照不足の影響が心配されるなか、日々のお手入れの
効果のおかげで順調にそだっている[と思っていた]、今年の挿し木
で育てたラベンダー。

いま9センチ鉢 → 

そんなラベンダーの鉢のうち、一本が 一本だけが なんとなく
水あげが悪い。

ん、んっ? おかしいなと思いつつ、長年の経験から土の表面を
触ってみる。けれど 不思議な柔らかさではないので、水の量を
やや多くすることにして、その後の一週間ほど様子をみていたと
ころ・・・・

残念なことに 水あげの状態はそれほど改善されず、試しにと株
を持ってうえに引き上げてみる。

と、

スポンと抜けて、手にしているのは まったくといっていいほど
地下部のない状態のラベンダー。茎のみ! という残念な結果と
あいなりました。

土の状態は 一週間前とちがって これが驚くほどの ふかふか。

そのふかふかの土を ザルにあげて ふるってみたところ

   

コガネムシが8匹。一鉢のなか、まるまると太っていてましたよ。

農業でいえば、インゲンやダイズのマメ科の作物、今回のラベン
ダーをはじめバラやボタンなどのお花類、秋の果樹類や緑化につ
かう樹木類まで、コガネムシが好んで食する植物は さまざま。

萎れが出始めたときの対処では手遅れといった状況・状態を作り
出す生物ですので、毎年被害のでる圃場ではやっぱり予防が不可
欠ですねぇ。


晴れ 前回の ハーブにも虫はくる は ​こちら​。 
  虫がでた鉢の 鉢土の再利用方法については ​こちら​。
 

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜




ハーブにも、虫は ばしばし やってくる。

2019-09-26 15:52:38 | Weblog
ハーブにも、虫は ばしばし やってくる。G

次回関連で再掲載です。よろしかったら。

 ↓

ひと昔前の話です。

ラベンダーやセージなどを畑の作物の間に植えているので、無農薬で
 作物が栽培できています


などという話をよく聞いたものです。
いわゆる ハーブには虫がこない伝説 ですね。

・・・しかし最近では、さすがにこの話も聞かない様になって来ました。
そうなんです、もちろんハーブにも、虫は ばしばしやってきます。

体験からいうと、ハーブには虫がこない伝説で登場するラベンダーやセ
ージ・ミントなどにももちろんやってきます。ちなみに別ブログでラベ
ンダーの鉢利用の長期栽培の様子をお伝えしているのですが[こちら
ほかの作物から隔離してラベンダーだけを栽培しているにもかかわらず
ちゃんと彼らはやってきます。

ちなみにそんな害虫の種類ですが、小型のものでは、梅雨の時期になる
と恒常的に葉の裏面に発生するのがハダニ。ハウス栽培の終了とともに
やってくるのがシルバーリーフコナジラミやタバココナジラミ。
そして大型のものでは、気温があがる 梅雨明け時や台風の通過後に、
ピナータラベンダの葉を軸だけを残して[まるでニンジンの葉を食べて
いるかのように]平気で食べ尽くしてしまうミツモンキンウワバ
などが
気をつけねばならない代表的な害虫です。

揮発性のオイルの香りのするラベンダー類やミントの葉を生息の場所と
したり、吸汁したり・あまつさえムシャムシャと食してしまう彼ら。

そのたくましさには、敬服させられてしまいます。


晴れ 台風の風雨で下葉が傷んでいるとばかり思っていたピナータ
  ラベンダー。じつは一鉢に5頭ほどのウワバが潜んでいたのが
  原因で弱っていたのだと判明。
  ラベンダーには すまないことをしたな、とガックリ。。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染





雑草を利用した土づくり。

2019-09-24 22:12:31 | Weblog
雑草を利用した土づくり。

江戸時代においてのイネ栽培において、病気を媒介するウンカや
ヨコバイの駆除にクジラの油を使用していたというお話をご紹介
しましたが[こちら]、今回はやはりそんな江戸時代の農業におい
ての雑草を利用した土づくりについてのおはなしとなります。

現在の日本のような食料の輸入大国でもなく、また外国から輸入
した農産物による家畜の大量飼育があるわけでもなく[当然ながら
家畜ふん由来のきゅう肥もないわけです]、しかも大型農業機械
もなかった当時の土づくり技術の技術ですから、なかなか興味深
いものがあるんですよね。

というわけで、今回は 江戸時代の農業書である開荒須知に載っ
ている芝草の特効は つぎのように・・・

 3月から4月ころにかけて、山林の中とか道端などに繁茂して
 いる芝草を、深さ二寸くらいに土ごと剥ぎ取り、積み重ねて山
 のようにし、草を刈って上を覆っておく。
 こうしておくと芝草は根までみな腐って土のようになるから、
 これを耕土の浅いところとか実りのわるいところに入れて耕す。
 この方法でつくった芝草は簡単につくることができ、しかも
 運搬にあたっては 男二人もいれば 1日に百五十駄くらいは
 とれる。
 この芝草の草の根にまじっている土は、毎年毎年の雨と太陽に
 よって上等の肥えた土となり、さらに草の根の腐ったものが土
 と合わさっているものであるので、
 この芝草をほどこすと、どんな痩せた土地でもたちまち肥沃な
 土質となり、五穀の実りは上等の田畑と同じようになる。


といったものです。もちろん、ここでいう芝草とは、現在の芝生
という意味ではなく、雑草に山野草と考えるべきものだとおもい
ますよ。

この芝草に落ち葉やススキなどから時間をかけて丁寧に作った植
物質の原料によるたい肥を併用していけば、通気性のよい作土が
できあがっていくことでしょうね。以上、今回は 雑草を利用す
るという江戸自時代の土づくりについてのご紹介でした。


晴れ ただし。注意する点もひとつ。雑草から作るわけです
 から、雑草の種子は残る。クワなどでしょっちゅう作
 土の表面を削る作業は どうしても必要になるかと思
 います。しかし現代の牛由来の強害雑草[​こちら​]はな
 かったわけですから現在よりは除草は楽だったかも。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜




波打ち際で耕運機をかける・・って、いったい?

2019-09-23 23:39:22 | Weblog
波打ち際で耕運機をかける・・って、いったい?

梅雨にはいって、まるで真夏みたいな陽射しが照りつける日南海岸。
そんな日南海岸にいくつもある浦のなかの、 とある砂浜の散策中に 
わたしは 砂浜に残された不思議な痕跡を見つけたのです。

けっこうな長さもある、その痕跡の現場の写真は、こちら↓。

 謎の耕運機.jpg

この痕跡を例えていうならば・・・そう 耕運機です。

エンジンを載せたフレームに、土を攪拌するための耕耘のための
 機械を連結し、人がうしろから〔自転車のハンドル状の〕ハンド
 ルを握った形で歩く形態の農業用の機械
』です。

そんな耕運機を、ヒトが動かした跡に見えたのです。

 幅が1メートル前後なので、けっこう本格的な耕運機。
 タイヤは太いタイプのもの。動かしている人の履物跡のないのは
 耕運機を前進ではなく、バックさせているから。。 


と、わたくしは推測しました。

しかし、です。問題は その場所。乾いた砂浜に耕運機をかける理
由が分からない。だいたい 乾いた砂をいくら掘っても、やるはし
からすぐに埋まっちゃって、穴なんて掘れやしないにきまっている。

さらに問題は、その進行方向。バックにギアをいれた耕運機の進行
方向が問題大あり。 だって、この痕跡からいえば

 耕運機をバックさせて海に向かってまっしぐら

ということになるのですから、穏やかではありません。・・・・ど
うにもこの耕運機を操作していたに違いない人間は、耕運機を引っ
張る格好で入水した
ようにしか思ないのです。







なぁんて、おどろかしちゃって、ごめんなさい

ご存知の方も、たくさんいらっしゃることと思いますが、じつはこ
の砂に残った〔耕運機がとおった跡などと表現した〕痕跡こそは、

 アカウミガメの母が産卵場所を探して上陸した際にできる痕跡

なのです。

 それが答えだ。.jpg

と、いったわけで、6月を中心とした西日本の太平洋側の海岸部に
おける初夏の風物詩。アカウミガメ母さんが砂に残した命のモニュ
メント
のご紹介でした。ちなみに、産卵からふた月あまり経過する
と・・・誕生した子ガメたちが母さんを追うかのようにいっせいに
海に向かって懸命に走りだしますよ。


晴れ 前回の​トラクター噺​のつづきとして、今回は
  過去分のものからの 再録となりました。
  
51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染