グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

異常気象が続くなかでの農業への設備投資。

2019-12-29 16:50:06 | Weblog
異常気象が続くなかでの農業への設備投資。
2019年の全国の年平均気温が基準値を0.92度上回り、観測が始ま
って以来の120年間での最高値を記録したというニュースもある本年。
そんな状況を踏まえていえること、それは今年のような天候が今後も続
ということです。そんな時代の農業への設備投資について❝​風水害に強い
というアウトドア仕様の機械や計器類や施設類を普及していくほうがより
現実的なスマート農業なのかもしれませんよ​
 と、2017年に書いた分
ですが、やはりその見解はあたっていたなと自画自賛しつつ、来年からの
設備投資についてのご参考として よろしかったら。

 ↓

『異常気象が続くなかでの農業への設備投資/2017年分

このような極端な天候になってきている日本において、そして比較的予想
がしやすいと思わざるをえない台風の進路でさえいまだに進路の予報さえ
もなかなか確定できない現実[先日の台風5号の進路の予想さえ各機関

議論百出でしたよねー]のなか
にあって、

むずかしくなっていくのは・・・そう、農業を営業していくにあたっての
設備投資です。なかでも スマート農業というくくりのなかで語られるこ
との多くなっている高額な設備投資です。

それはたとえば

あれば便利であるにちがいない最新機能を備えたトラクターやコンバイン
などの農業機械。ボタンひとつであるいは遠隔操作で自動で稼働する器械
類を備えた温室施設。それに気象に関する精緻なデータを集積するために
圃場に設置する自動計測機械などなどです。あ、もちろんドローンもはず
せませんね。

しかし問題はそれらの価格です。このような通常よりも高価な機械や計器
類を用意する設備投資・現状のモノよりもはるかにお金のかかる設備投資
というものは、

このところよく見聞きする たとえば風速60メートル超になることも普
通になった観のある大型台風の強風のなかにあっても、無事に[いわゆ
るどこ吹く風と]耐えることができるのでしょうか。
これまでよりも確実に回数も増えてきた大雨や100ミリを超すことも普
通になったゲリラ豪雨によりひきおこされるであろう水害を[蛙の面にし
ょんべんと]と平気でやりすごすことができるものなのでしょうか。

そのあたり、おおいに心配になります。ちなみに写真の新聞記事は7月の
九州北部豪雨のものですが、大量の流木やがれきを伴った泥流が農村部に
流れ込んでいる様子がうかがえます。


               


こういった状況に接するにつけ・・・想いおこされるのは
台風銀座といわれる南九州において、これまでに体験してきた竜巻被害や
幾多の台風の強風被害や洪水被害の及ぼす[標準的な値段の]機械類や施
設などの被る被害です。悲惨ともいえる金銭的な損害です。

そのような現実を見てきただけに、どうしてもより高額になるスマート農
業の設備投資の問題が気にかかってしまうのです。

ということで今回は このところ政府によって喧伝されるの多くなったい
わゆる“スマート農業” というものは、「異常な気象があたりまえになり
つつある気象
の環境下においては[経営者にとって]負担がおおきすぎ
るものになる
のではないのかという ある意味お節介なおはなし でした。


晴れ そういった意味で考えれば・・・むしろ風水害に強いという
  アウトドア仕様の機械や計器類や施設類を普及していくほう
  がより現実的なスマート農業なのかもしれませんよ。そう、
  たとえば水陸両用トラクターやイザとなったら施設全体が水
  に浮くトマトハウスみたいな/笑。。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜





暖冬傾向のなかでのハウス作物の施肥管理。

2019-12-26 11:44:28 | Weblog
暖冬傾向のなかでのハウス作物の施肥管理。
2019年12月25日分のDМより、暖冬傾向のなかでのハウス作物の
施肥管理の おはなしと なります。  
 



上記の分のなかにあり、このブログの追肥管理でも ❝安全でよく効く❞
という表現を使って、文中に でてくる多木有機液肥ですが、

 

電気伝導度計で希釈液を測定してみますと、上記のグラフの数値にありま
すように一番下にある 無機液肥と比較して EC値が低い傾向にあるのが
わかります。

  EC値があがらない = 植物体にやさしい

ということを数値で表した実例 と いうことで紹介させていただきました。

また根の張りの不良と徒長や葉の厚みを増す対策としてマグホスやカルミ
タスのマルチの内側や、通路部分への追肥施用もひきつづきおすすめして
いますので、興味を持たれた方は ​こちら​ をご覧ください。


晴れ  作物の生育に応じた基本的な追肥の考え方である「いまどんな
  肥料をやればいいのか」の回は ​こちら​ です。

  51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜






薬剤耐性菌で国内で8000人の死者だというのに。

2019-12-22 16:48:20 | Weblog
薬剤耐性菌で国内で8000人の死者だというのに。
術後の方や高齢者、免疫が落ちた方などが感染すると、重症化して死亡す
るリスクが高まる薬剤耐性菌。 米国では年間3万5000人以上、欧州
では3万3000人が死亡しているとの推計が発表されているほどの、あ
る意味人類にとっての重要な課題であるともいえる この薬剤耐性菌問題
の日本での死亡推計数なのですが・・・これが ずっと不明のままでした。

その不明であった死亡感染者数が、国立国際医療研究センター病院(東京)
などの研究チームによって[代表的な2種類の耐性菌について]全国規模で
はじめて調べられ、その結果が本年12月05日に公表されました。その
死亡者数ですが、これがなんと・・・

  2017年には日本国内で8千人以上が死亡

というもの。1年で、 2017年の1年間だけで8000人!​ という
ショッキングな数字です[代表的な2種以外もあると思われるので現実に
はもっと大きな数字になるかと]。

この事実を知って、個人的に死者数の多さに驚かされたのですが、それ以
上にもっと驚かされたのが・・・この事実に対しての いわゆるマスコミ
の取り上げ方の熱のなさ。たとえばこの発表に関する新聞記事は第3面に
掲載されているという 文字通りの三面記事扱いなんですもの。

 宮崎県版の新聞記事 →  

こういったニュースを扱う マスコミの方々の身内のご家族やご親戚にも、
いわゆる院内感染にかかった人も多いはずだと思うのですけれど、ねえ。
[この記事の扱われ方には]なんとも信じられない思いで いっぱいです。

さらに今回の、この記事には特徴があります。それは人間の抗菌薬の話が
ほとんどで、以前から問題視されている家畜への抗菌薬使用の話が、全く
語られていないこと。・・・ヒトの医療研究センターチームによってまと
められた調査ですので、マスコミの方々としては 今回はヒトのはなしを
中心に報道されたというかんじなのかもしれませんけれど、せめてネット
ニュースなどでは扱ってほしかったなと個人的には思ってしまいました。

その傾向、無関心とも思われるようなこのニュースの扱いは、新聞発表
された6日以降においても、地方版でも全国版でも、そしてネットニュー
スなどでも、同じなのです。

       
そこで・・ 注意を喚起するかんじで、わかりやすいこの図を使った、
家畜も含めた抗菌薬の適正使用の話の回は、こちら

ということで今回は、現実に国内で年間8000人の死者を出してい
るというニュースに合わせる形で、
「2020年までに抗菌薬の使用量を2013年の3分の2にまで減
らす」としている政府のつくった行動計画の達成予定の年も もう来
年に迫っていますよね、安心していてだいじょうぶなんですよね、と
いうおはなしでした。


晴れ さらメシ・農家メシ・世界のオベントに天野君と天野君に負けじ
  と女子アナがたべる番組などなど、まるでなにかに憑かれたかの
  ように、平日のお昼の時間に  食の番組ばかりを放送しまくる 
  NHK。ときどきでいいですから、たまには 家畜への抗菌剤の
  話とか、家畜の飼育場所から発生する排水問題なんかも取り上げ
  てほしいとおもうんですけれど。N国さん、なんとかなりません
  かね。
   
51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」​​


畜産用抗生物質2種が規制された2018年。

2019-12-21 08:57:24 | Weblog
​​​​畜産用抗生物質2種が規制された2018年。
抜き差しならぬ段階に入ってきた耐性菌問題の対策 
として、2016
年の4月に官邸で開催された「国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚
会議」で決定された行動計画に基づき、​2018年11月に産用抗生物質
2種が使用禁止とされました。前回にひきつづき、次回の参考資料として
2018年12月分の再掲載となります。



​​『畜産用抗生物質2種が使用禁止になった/2018年12月分』​​

三重県で開催された伊勢志摩サミットの議題関連として、2016年の
4月5日に官邸で開催された「国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚
会議」で決定された行動計画に基づき、
国は豚や牛など家畜の飼料に混ぜて使う2種類の抗菌薬の成長目的での
使用を国内で初めて禁止にしました。

禁止すると発表されてから、実行されるまでに約1年ほどかかったわけ
ですが、とりあえずは よかったです。

禁止された理由は・・・抗菌薬(抗生物質)が効かない耐性菌の広がり
を防ぐためですが、 そんなニュースを扱った11月18日付の朝日新聞の
第一面の写真が こちら です。


 第一面   記事はこちら 

そしてこちらが、その記事の部分的な拡大映像 と なります。

             

記事にいわく今回禁止された薬は コリスチンとバージニアマイシン。
なかでもコリスチンは日本国内で流通する飼料添加物の約1割を占める
とされています[2016年に添加物として使用された抗菌薬は228トン]。

・・・2013年の時点で耐性菌による死者は 世界で70万人超[厚生労
働省]であり、2050年には死者が年1千万人に上るという推計 もある
耐性菌問題。 欧州連合(EU)では現在から遡ること10年以上も前の
2006年に成長促進目的での抗菌薬の使用を禁止しているだけに今回
の日本政府の措置は遅きに失した感があるものの、それでも もちろん
規制しないよりはずっといい っていうところですね。

そしてこの記事の文中にある「食品や排せつ物を通じて人にも広がる恐
れがあると判断した」という一節ですが、これをわかりやすい図で説明
すると


        

こうなります。そして今回の措置にプラスするかたちで、付け加えると
したら、この2種類以外の抗菌薬の規制問題です。

農水省によると「飼料添加物として認められている抗菌薬は23成分。
そのうち15成分はリスクは無視できると考えられ、 残りの8成分が
評価中」ということらしいでので、 個人的には ここはひとつ遅れた
事態を早急に挽回するためにも いっきにぜーんぶ禁止 なんて措置に
突っ走ってほしいものだなと どうしても おもってしまいますね。

ということで今回は、耐性菌が身近な問題となってきたからには[農業
といういち産業を守ることよりも]家畜の成長促進目的での抗生物質の
使用禁止をよりいっそう推進していこう、併せて抗生物質を使って飼育
された家畜のふん尿の農業利用についてもEUなみに規制していこう
いまそれが日本の国民のひとりひとりの健康と生命を守るためには必要
なのだというおはなしでした。


晴れ 切り札とされるコリスチンが効かない「スーパー耐性菌」も、​
  日本ではすでに 2016年には確認されている[​こちら​]と
  いう現実もあるわけですから規制は早ければ早いほどよろしい
  のではないかと。

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耐性菌対策のための日本政府の取り組み。

2019-12-20 13:48:10 | Weblog
耐性菌問題の状況が抜き差しならぬ段階に入ってきたのかも と書いた
2016年09月分ですが、次回分関連で再掲載です。よろしかったら。



『耐性菌対策のための日本政府の取り組み/2016年09月』

三重県で開催された伊勢志摩サミットに先駆けて、日本政府は 「国際
的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議」を4月5日に首相官邸で開き、
行動計画を決定しました。


のののののの

もちろんこれは、抗菌薬を大量に使うと薬が効かない薬剤耐性菌が増え
るのを防ぐための措置ではありますが、注目すべきは

 ■ 政府という行政のトップで行動計画が作成され

それに加えて

 ■ 減らされる抗生物質の量の数値目標が決められた

ということ。

かねてよりの世界保健機関[WHO]からの要請があったからとはいえ、

 ■ 使用される抗菌薬の量を20年までに現行の3分の2まで減らす

という具体的な期限まで、しかもヒトの医療現場のみならず 畜産という
農業分野にまで踏み込んで設けられたこと
に、個人的には驚きました。


だってEUのように家畜に使用する抗生物質の種類を規制していない
はおろか、現在家畜に使われている抗生物質の量さえ把握していないと
おもわれる
 この日本で・しかもいきなりの規制計画 ですもの。

これは、今までの経緯を考えれば ほんとうにびっくりものですよ。

裏を返せば・・耐性菌問題が抜き差しならぬ段階に入ってきたのかなと
ちょっと恐ろしくもありますが、今回の計画が なんとかスムーズに
絵にかいた餅のようにならぬよう]実行に移されることを 国民の
ひとりとしてねがうばかりであります。

つづく。


晴れ 『風邪をひいたら養殖魚をたべさせときな』なんていうブラッ
  クジョークに象徴される農水産業で使用される抗生物質の量に
  ついてのおはなしは こちら 。
  安心・安全というかけ声のもとに、耐性菌をふやすことになっ
  てきた原因かもれない家畜ふん尿を全国の圃場に撒き続けてき
  たおはなしは こちら


51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜