グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

キュウリの曲がり具合から対処方法を探る。

2017-08-31 11:44:23 | Weblog
キュウリの曲がり具合から対処方法を探る。

たとえばハウスキュウリ栽培。収穫シーズンを通しての[工場でいえ
ば製品にあたる]キュウリの品質はいかがなものでしたか。
そんなキュウリの生育状態判断についてのご質問いただきましたので、
当ブログの関連回を再掲載してみました。よろしかったら。

 ↓

『キュウリの曲がり具合から生育状態を知る』

キュウリは曲がっているのがあたりまえ、いえ曲がっているほうが良い
・・・と、思われている消費者さんもおられます。
しかし、この考え方は、キュウリという植物の生育から見た場合には
疑問符がつく考え方だといえるでしょう。

キュウリの定植から収穫終わりまでの生育全体を見た場合に、キュウリ
果実の曲がりの発生が多くなるときは、キュウリの樹が疲れてきたとき
に多くなる
ことが統計上報告されています。

具体的には たとえば

 ● 葉が繁りすぎて、光が充分に葉にあたらないとき
 あるいは、
 ● 病気や虫などの影響で葉の機能が落ちたとき、
 ● 天候が悪いとき、
 ● 一度にたくさんの果実をならしすぎたあと、
 ● 肥料や水が不足して、樹にストレスがかかったとき

 
といった状況で、果実の曲がりが多くなることが判明しています。

せっかく読んでいただけているのですから、土壌栄養学的に特化して
曲がり果が起きるときの土の状態を説明
しますと、

 ● 実の上部が細いものは肩こけ果といわれますが、これは 石灰欠乏 
 ● 尻が太いものは、下葉が枯れてきたとき
 ● 2本つながっていたり、実に葉がつく奇形果は、ホウ素欠乏 
 ● 果実が縦に割れる裂果は、根が弱っているとき、
 ● 食べて苦い苦味果は、 乾燥が影響 している

ということがわかっているんですよ。このように、キュウリ果実は、

 なんらかのストレスが、作物にかかるときに曲がる

のです。

したがって対処法は・・・作物にかかっているストレスを取り除いて
やること。

その方法ですが、土壌栄養学的には 不足している石灰やホウ素や苦
土分などのそれぞれのミネラル分のはいった資材を施用してミネラル
類を補ってやる
ことで対処します。同時に、全体的には最初に述べた
作物管理の適正化に努めることで果実の“曲がり”に対処していきます。

すっとまっすぐに育ったキュウリの樹から取れる、素直なキュウリの
果実は、ミネラルのバランスとれているので、とてもおいしい
ですよ。


<emoji code="h044" /> シーズンを通して、良品を継続的に出荷できること。それ
  が、農業経営における一番の 経営安定策だ思います。

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絶対の農法・究極の農業資材などない。

2017-08-28 17:15:11 | Weblog

絶対の農法・究極の農業資材などない。

いろいろな土があります。

たとえば、身の回りの場所で土を手にとられたことはありますか?
旅先で土をみられたことはありますか?
あなたのいま立っている場所の土はどんな色や形をしていますか?

これがじつに千差万別、土には、いろいろな色や形状をしたもの が
あるんです。
色や形がちがう土・・・それは土のもつ組成のちがいに原因があり
ます。

たとえばつぎのように・・・

 
■ 気体部分の多い土・少ない土
 ■ 水もちの良い土・わるい土
 ■ 肥料もちのよい土・わるい土
 ■ 鉱物の種類が多い土・少ない土
 ■ 有機物の多い土・少ない土
 ■ 微生物の多い土・少ない土
 ■ 動物体の一部がふくまれている土
 ■ 植物体の一部がふくまれいる土


などなど。

生物と無生物の集合体である土は、それぞれの場所場所にいろいろな
「土」が存在する
のです。

さて、これほどの多種多様な土を利用しておこなわれる農業について
です。いろいろな土に万能の農法がありえるでしょうか。またその農
法にとって絶対の資材がありえるものでしょうか

答えは、 です。

さまざまな土壌でおこなわれる農業ですから・・・様々な土に対する
いろいろな方法や手段が、とられてしかるべきです。

 
肥えすぎた土には、肥料分を抜く土の管理を。
 やせた土には、肥料分を多少大目にやる管理を。


土の状態を見ながら・土壌を検査しながら、
育てようとする作物のステージごとに欲しがる肥料分を、
作物の生育を観察しながら、適せん あたえていくこと

が 必要
になる。

それが 農業・農法の現実 です。



晴れ 自分の生活に置き換えて 考えてみてもそうですよね。
  食事したり休息したりすることで、働くことができる。
  この種の質問を受けたときは、まず そんなふうに答えて
  います。
  そして資材の価格ですが・・・充分な成果を得る資材は
  安いと思います。もっとも高いのは、派手な宣伝に乗せら
  れて状況にあわない資材をつかってしまって成果がともな
  わないときです。
 
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食中毒由来の溶血性尿毒症症候群は、怖い。

2017-08-25 15:01:40 | Weblog
食中毒由来の溶血性尿毒症症候群は、怖い。

食中毒関連の病状といえば 下痢とか吐き気とか発熱といった食当たり程度
の病状を連想される方がほとんどではないかと思われます。 ということで
前回の参考資料として、食中毒由来の溶血性尿毒症症候群に関する当ブログ
の2012年10月の記事の再掲載となります。よろしかったらご参考に。

 ↓

『食中毒由来の溶血性尿毒症症候群は、怖い。』

「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件で、溶血性尿毒症症候群(HUS)とな
って入院されていた10代の少年患者さんが、事件から約半年後の22日午後
にお亡くなりになったそうです。謹んで哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈
りします。

その溶血性尿毒症症候群(HUS)ですが、

「腸管出血性大腸菌や赤痢菌に感染した際、菌の出すベロ毒素が腎臓の毛細
 血管内皮細胞を破壊してそこを通過する赤血球を破壊することで溶血がおき、
 並行して急性腎不全となり、尿毒症を発症する。」

といった症状をいいますが・・・そのような症状に関するこの病状に関する
具体的な新聞記事がこちら。

◎ 参考資料 毎日新聞 2011年10月24日 

帰って来てくれると信じていたのに--。焼き肉チェーン店「焼肉酒家えび
す」の集団食中毒事件で、5人目の犠牲者となった富山県小矢部市の少年
(14)の父親(49)は23日、毎日新聞の取材に対し、息子を失った苦
しい胸の内を語った。楽しかった家族のだんらんから一転し、襲いかかった
悪夢。父親は「彼の人生を奪っていったものと闘わなくちゃいけない。それ
が親の仕事じゃないか」と拳を握り締めた。
家族は4月22日、前日に14回目の誕生日を迎えた少年を祝うため、4人
で同県砺波市の砺波店を訪れた。店を選んだのは少年だった。父親が「何が
食べたい?」と聞くと、「焼き肉! えびす!」と元気よく答えた。3月に
同店で食べたユッケのおいしさを思い出し、この日は3皿注文。兄と喜んで
食べた。
腹痛を訴えたのは翌日。父親も兄も同様の症状だった。「津波のような痛み
が押し寄せてくる。脂汗が出た」と父親は振り返る。少年の症状は更に重く、
入院翌日の28日夕、「お父さん、右手に力が入らんがやけど」と訴えた。
すぐに集中治療室へ運ばれた。脳症を心配した母親は病床で、「あなたは誰
?」「あなたの好きなものは?」と語りかけた。少年は言葉を選びつつも的
確に答えた。「もう疲れた」と言うまで続けた。
最後に名前を呼びかけた時、少年はにっこりと笑った。
しかし29日朝、意識不明となり人工呼吸器が着けられた。
少年は小学3年生の時からサッカーを始め、6年時にはキャプテンに。「小
さい時から面倒見が良くてね」と父親は言う。中学でもサッカーを続け、周
囲からはキャプテン候補と目されていた。だが少年は、3年生が抜けて同級
生の2年生が主役になった今年の夏、病床で闘っていた。
「何でこんな目に遭わんなんがや(=遭わないといけないんだ)」。父親は
怒りが込み上げた。少年は入院から約半年後の今月22日午後9時52分、
息を引き取った。
「あの社長はパフォーマンスだけだ」。父親は、チェーン店を経営していた
フーズ・フォーラス社(金沢市)に憤った。幹部が5月に1度謝罪に来てか
らは、誰も来ていないという。「半年がたち、この事件が風化していくのが
嫌なんです。だから僕は闘っていく」。父親は力を込めた。


というものです。・・・毎日新聞さんのこの記事の中の「お父さん、右手に
力が入らんがやけど」という、息子さんの言葉には ほんとうに心が痛みま
すよね。
いじょう、正しい認識を普及させることで、少しづつでも犠牲者を減らして
いく努力が大切だという意味での昨年の新聞記事のご紹介でした。

そして 繰り返しになりますが、注意すべきは

 「清潔にしすぎたことが、O157の発生を助長している」
 「O157は生命力は弱い」
 「O157は、腸の中に敵となる菌がいないと暴れだす。」

などといったまちがった風説が 人々のあいだに流布されてつづけている
こと。とくに、幼い子どもさんをもたれるご家庭では、こういった間違っ
た説に惑わされないように注意いたしましょう。

そのうえでたとえば焼肉などを行う場合は

   生肉に添えてある野菜にも注意
   生肉を触った後は、せっけんで手を洗うこと
   お年寄りや子ども、病み上がりの人は、菌への抵抗力が低い。
   動物の体内菌なので「新鮮だから生でも大丈夫」は誤解

といった点を、くれぐれもお忘れなく。


晴れ そして農業です。食べ物の生産に携わる農業者の間にも
  正しい知識を普及させること、それも大変重要なことだ
  とおもっております[とくに家畜ふんを多様する農法
  おいては]。そんな野菜の衛生管理に関する農水省の関
  係資料は こちら 。

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0157による食中毒の発生を減らすには。

2017-08-23 17:12:40 | Weblog
0157による食中毒の発生を減らすには。H

前回にひきつづいて2008年分の再掲載です。

 ↓

 ■ 0157は動物が保菌している確率が高い

ということ、そして 

 ■ まずはじめには糞便にあり

という事実を、〔農家も含めた〕日本国民が しっかりと認識する
ことです。

これにつきるとおもいます。 

そうすれば、困難を極める二次感染の感染ルートの解明を実施する
こともなく、さらには進行していく0157の二次感染をも防ぐこ
とが より容易になります。

たとえば農業の場面においては、牛⇔ふん⇔牛 のサイクルの中に、
0157の生物としての生活圏がある
ことを知る必要がある。
研究が進んでいる欧米で推定されている0-157の感染ルートは
つぎのように。

  1. 牧草地・畜舎 →  → 河川

  2. 牧草地・畜舎 →  → 池・湖沼

  3. 牧草地・畜舎 → 浸透 → 地下

と、このように考えられていますよ。

したがって、O157に代表される腸管出血性大腸菌が生息場所と
している牧草地・畜舎からの汚水の流失を止め、汚水が浸透しない
ように、畜ふん置き場や畜舎の床をコンクリートで固めます。
さらに、定期的に酢酸などでこれらの施設を消毒すれば、0157
の増殖をかなりの確率で食い止めることになるでしょう。

疫病対策は、予防からです。

そしてもちろん、家畜ふんを多様する農業についても、注意が
必要
です。生ふん尿や未熟なきゅう肥を多使用する〔繁殖を助
長します〕のではなく、散布する場所の選定や使用する種類
と量に留意し、そして充分に発酵させた有機を使用すべき
である
ことは、いうまでもありません。


晴れ 0157に汚染された牛肉の、米国での回収例は こちら  。

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O157による食中毒について。

2017-08-23 12:16:00 | Weblog
発生中のO157による食中毒について。Hすみ

『清潔にしすぎたことが、O157の発生を助長している』 とか
『O157は生命力は弱い。が、腸の中に敵となる菌がいないと暴
 れだす』などといった記述をときどきみかけますが・・・とくに
幼い子どもさんや高齢者がおられるご家庭では、こういった間違っ
た風説に惑わされないように注意いたしましょう。
ということで、以下は、2006年のブログですが、今回のO157
による食中毒発生に関連として三本ほど再掲載してみます。
よろしかったら、ご参考に。



0157による食中毒について

食中毒の集団発生はさまざまな要因が複雑に絡みあって起きるもの
です。そのため、発生後から状況を再現することは、非常に難しい。
なかでも特に大変なのが O157に代表される腸管出血性大腸菌
が原因する場合なのです。

それはこの菌に、

 ■ 感染してから発症までの潜伏期間が4~9日間と長い
 ■ 調理用具や水などを介した二次感染の危険性を常に伴う


といった特徴があるからです。

長い潜伏期間のもとで汚染食品が流通し、その間にも強い感染力
 により、つぎつぎと二次感染による被害を拡大していく
』・・・
これがO157による食中毒事故の恐ろしさです。これでは、感染
源の特定がなかなかすすまないのもうなづける話ですね。

そのO157の強い感染力について説明しましょう。

たとえば サルモネラ菌などは100万個以上が体内に入らないと
感染しないとされています。0157では、わずか100個足らず
で感染
するとされています。
この感染力の強さであれば、食品にごくわずかについている場合で
も感染してしまいますし、タオルの共用や入浴やプールなどでも感
染の危険がつきまとうという話にもおもわず納得してしまいます。

この強力な感染力のために、過去のO157発生時には多種多様な
感染源が指摘されてきた経緯があります。

有名となっ たカイワレ大根はもとより、仕出し弁当・輸入アメリカ
産牛肉・メロン・そば・イクラに製麺所のうどん・和菓子・生レバ
ー・牛ホルモンなどなど。なかには、おかかサラダやかぼちゃサラ
ダの例、なんてこともありました。
この広範囲にわたる感染源というものこそが、潜伏期間の長さと強
い感染力を持つというO157の特徴を端的にあらわした実例だと
いえるでしょう。 

この原因究明された感染源の多さをみて、『これはとても防ぎきれ
ない
』・・との感想をもたれた方も多いとおもいます。が、実際に
は、O157が原因の食中毒ってそうそう起こるものではない。

その理由は上記のいろいろな感染源が、じつは二次感染による感染
源であることにほかなりません。そもそもの感染源は、別にある。

そう・・・O157のいる場所は、はじめからわかっているからです。

O157は、「家畜や動物のふん尿を介して生殖・増殖する微生物」
なのです。実際のところ、O157は、牛のふん便中の2-3割に
おいて普通に検出されるという事実もあります。

動物には害がなく人間に害をおよぼすというO157という大腸
菌のもつ性質が、問題となって発生する食中毒というわけですね。

したがって、上記の多岐にわたる感染源としてあげられた食品は 
あくまで「従犯」。「主犯」である動物のふん便中のO157を
おさえこむことで、O157は予防できる
ことになります。

以上、再掲載でした。


晴れ そのような内容の、 農水省のページ や、こんな新聞記事 
  いいなと思いました。

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