朝、8時半の土成の停留所

傘が要らないほどの、細かな雨が降っている。
手編みの毛糸のマットが置かれている、🧶
待合室のベンチに座って、
9時の高速バスを待った。
父の世話に帰っていた頃は、
この停留所に、150回は乗り降りしただろう。
もう、後、何回ここに来れるのか?
父の家が売れてしまうと、
もう来る機会はなくなるのだろう…
小雨に煙る景色が、
私を余計に感傷的にしてしまう。
紅葉するには早すぎる、まだ緑の濃い山々、
何度も見ているはずなのに…
故郷の山は、きれいだ…と心に染みる。
しんみり感傷的な思い出に耽っていたら、
9時のバスが来て、乗り込んだ。

正月や、お盆以外は、
相変わらずガラガラのバスの席。
2時間、
そろそろ三宮に着く、
今日は、西から雨になる予報だが、
雨より先に、着いたようだ。

三宮は、分厚い雲の割れ目から、
明るい陽がさしていた。
150キロ余りの距離…は、
母が居なくなり、父が居なくなり、
家がなくなると、
近いと思っていたのに、
少しづつ、少しづつ遠くなっていくのを、
感じ始めていた。

8日ぶりに帰ってきた我が家、
やっぱりここが、私の居場所なんだと思う。
11日、台風の接近が気になり、
ベランダの植木を家の中に避難させて、
出てきた。
8日間も、日の当たらない部屋の中では、
きっと、弱っているのではないか…と、
心配していたが、
帰ってくると、
長男が、植木をベランダに出してくれていた。
頼んで出たわけでもないのに…
気にかけていてくれたことが、
嬉しかった。🤗
私が父を思い、
息子が私を思ってくれる…
黙っていても、絆はつながっている。