本日も北京市内より1時間ほど離れた昌平区の農村訪問の帰りに
養老院を見学してきました。
写真のとおり、広々とした敷地に、ゆったりとした戸建の家は、い
かにも高級な感じがします。
市内からは程遠い地区で、その郊外の静かなところで、新鮮な空気
を吸い、老後をのんびり過ごし、何でも揃っているというのが、こ
の施設のウリとなっています。
しかし、今や北京のどんな田舎でも、かなり離れた郊外の土地でも、
空気がきれい等ということは、まずありえないでしょう。
実際に、この施設の前には大きな通りがあり、その通りの周辺では
建設ラッシュと、大通りを行き交う車の粉塵等で、決して空気が澄
んでいる等とは言えるような状況ではありません。
近くの山も、汚れた空気で全く姿が見えないほどです。
ここは、まさに郊外の別荘地帯と言わんばかりに、高級感を前面
に出して、入居者を募っていますが、問題はその高額な入居費です。
今や、中国での高齢者問題も深刻となっていますが、人口の多くを
占める農民、そして庶民等にはとても手が出せるような金額ではあ
りません。
今や、60歳で退職した人達の年金では、いくら優遇されていると
も言われている公務員の年金をもってしても賄えるような金額では
ありません。中国では、日本と違い、退職後の保険金の支払いは
殆どないですが、月々の年金をもってしても、なお生活は苦しいと
言われているなかで、やはり金持ちは本当にいるものですね。
広々とした施設のなかの通りには、歩いている老人は全く見かけま
せんでしたが、帰るときに敷地内からご夫婦が1組通りの方面へ出
てきました。やはり、いかにも裕福そうな装いでした。
子は親の面倒を見て、親はまた、子の結婚式や息子の住宅まで面倒
をみなければならないと言う、今の中国社会ですが、こんな豪華な
施設に生涯住む人もいるかと思えば、一方で、この地域の近くには
貧民街もあり、貸家の看板を見ると、一間、月2,500円で入居者を募
集しているところもあります。あまりにも皮肉な、この中国での格
差、貧富の差の現実、これまた大きな課題であり深刻な問題です。