今このページにあるいくつかの歌のさわりを聴いてみてなんとも切なく感じている人はきっと莫大な数にのぼっているに違いない。
昨日も少し触れたが、本田美奈子が死んだ。
自分はこの人とほぼ同年代で「アイドル時代」にはやたらとこの人がテレビに出ていた。
「まりりぃ~~~~ん」というあの曲である。
たしか「へそだしルック」が多かった。
そして自分はあまりよい印象は持っていなくて、実際かなり嫌われている向きもあったと思うが、その印象があまりに強かったため、ミュージカルに出演しているということを聞いてもあまり関心は持てなかった。
したがって先ほどリンクを貼ったところなどでいくつか曲を聴いてみると驚かざるをえない。
そして画像もまるで天国に旅立ってゆかんとしているかのような雰囲気さえあるではないか。
アイドル時代のイメージをもたれることをきらっていたようなことも報道されている。ある程度地位を気づいてまた少し別の分野で努力するというのはたしかに大変なのかもしれない。
自分はミュージカルというのは見たことがないが、できれば何かの拍子にまかり間違って金持ちになってこの人の舞台も見たかったと思う。
この人がなくなったことに関してはずいぶん多くの仕事仲間の人たちがメッセージなどを寄せているようだが、そうした人の多さもさることながら、一人一人のこの人の死に対する慨嘆ぶりが故人の人となりを偲ばせるに充分なものがある。
たとえば岸田智史などはこの人が福山雅治の大フアンでその写真をいつも持ち歩いていて、その写真をいつも持ち歩いていたことをテレビで言っていた。
「今だから言いますが」ということは全くそういうことは今まで言われていなかったということだが、すごく純粋な話しだと思った。
またある以前大ヒットした曲を出した現在ロンドン在住のある女性シンガー・ソングライターがテレビ電話でコメントしていたが、意外なことにこの人もデビューは同期で仲が良かったらしい。
雰囲気は全く違うのにこれまた非常に意外な話だと思った。
ちなみにこの人はもう20年ぐらい前に都内のある場所でたまたま10分以上すぐそばでお茶していたことがある。
いわゆる業界の関係者のような男性と日常的な話をしていたが、そのころはすでに大ヒットした曲が出てから4年ほどたっていたころだったろうか。
全く違う世界で接点などないはずだがなにかの拍子に意外とすれ違っている人も実はこの世には多くて、どこかでみな繋がっているように考えてしまうのはあまりに空想的かもしれないが、とにかくそんなことを思った。
ちなみにこの人のサイトも見てみた。
そんなことをしたまではいいが、これを書き出したら、もしかしてその人も自分の名前が出ることでサイトにアクセスする人が増えるということを考えたかもしれないなどとつい余計なことを考えてしまった。
ようするに自分という人間はそういうことをあれこれ考えてしまう人間なのであるが、音楽というものはどのジャンルであれ、そうした余計なとも言うべき現実上のさまざまな想像や気づかれみたいなものをふき飛ばしてくれるものであるべきものだと自分は以前からおぼろげながら考えている。
残念ながら本田美奈子の舞台を自分は見ることができなかったのであるが、とにかく時代を共有した人がまた一人天に召されたということは痛惜の念に耐えない。
つつしんでご冥福をお祈り申し上げます。
数日前に「長生きしてやる」と書いたが、「長生きする」ということは毎日のようにこうした悲しい訃報に接してゆかなければいかないということで、それはすでにかなり前から始まっていることではあるが、これからさらに一体いくつの訃報に接してゆかなければならないのだろうか、などとも思ったりする。
文中敬称略