そして、恋人役の2人は、
お互いの顔を見つめあって・・・、
・・・・・・・・・・?
「おーい、どうしたー。
止めずに続けろー」
という演出家の声。
そう、男性の方が、
フリーズしちゃったんです。
「すみません!」
「なんか問題あったか?」
場当たりというのは、
問題点を最終的に洗い出す、
という役目もあるので、
突然止まったからって、
頭ごなしに怒鳴られたりはしません。
「実は、〇〇が・・・」
〇〇というのは相手の女の子の名前です。
(劇団だから、後輩は女の子でも呼び捨て)
「〇〇がどうした?」
と演出家が聞いたところで、
彼が返事をする前に、
えっ? 私がなにか???
と、うろたえまくって、
彼女が客席の方を向きました。
・・・
・・・
微妙な間があった後、
全員がひっくり返らんばかりに、大爆笑!!
稽古中、いつもスッピンで、
愛を語っていた彼女が、
突然、何をトチ狂ったのか、
人が変わったようなばっちりメイク。
「ははははははは」
「なんで楽屋で気づかなかったんだろうね~」
「きっとみんなが出てから、
どんどん1人でエスカレートしていったんだよ」
「そりゃあ、△△ちゃん、フリーズするわ」
「人間が違ってるし」
よーく見ると、
決してパーツパーツは変じゃないんだけど、
そのバランスの悪さたるや!
こういうのって、
きれいとか、きたない、じゃないんですよね。
「時間ないから、そのまま我慢しろ!
〇〇、あとで、メイク落としとけっ!」
演出家の鶴の一声で、
また場当たりは再開しました。
でも、客席で見ていたキャストは、
なかなか笑いが止まらず、
愛を語りながら、
その背中がフルフルしている(笑)
相手役の彼を心から同情したのでした。
(つづく)
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