望子のただいま稽古チュッ!

稽古、公演、プライベート
・・・オバサン役者、木村望子の日々。

「カミサマ」ウラ話・やっと舞台裏へ(その3)

2017-03-28 11:09:27 | 舞台・ウラ話

この芝居のオープニング。

舞台が明るくなると、
弟子の由紀が下手くそな祭文を唱えている。

それを道子(私)が籐椅子に座って、
「うまくならんな~」みたいな気分で聞いている。

・・・こんなシーンからのスタートでした。

オープニングシーンなので、
そのずっと前から、まず私が、このあたりにスタンバってて、


けっこうギリギリに来る由紀と2人で、
じっと開演を待ちます。

この時間が、なんとも怖いんですよね~。
いくら長くやってても、ぜんぜん慣れません。

由紀役の響乃ちゃんがギリギリに来るのも、
変に緊張しないためだったようですし、
出の前の待ち時間は、役者それぞれ、
過ごし方が違います。

袖で、かなりダイナミックにストレッチする人もいますし、
壁をじっとさわっている人もいます。

一番多いのが、首を回したり、手をぶらぶらさせたり、
軽いストレッチをする人ですね。
これで身体の余計な力を抜いていきます。

私もこのパターンで、それに加えて、
台詞を口の中でブツブツ言いながら待っています。


そして暗転になったら、由紀と2人で出ていって、
所定の位置につきます。

このように、暗転中に位置について、
最初から舞台にいることを、
「板つき」といいます。

で、またまた話がそれちゃいますが、
こういう、暗転での板つきなどを、
現場で初めて体感するのが、

場当たり・・・つまり、
照明さん音響さん中心の最終チェックのとき。

場当たりでの重要案件のひとつが、
<暗転> なんですね。


暗転中、舞台上では、
役者の移動や物の移動が行われます。

真っ暗な中で、
例のカレンダーやら、お茶の入った湯呑みやら、
果ては置いてある名刺まで、
出したり入れたりします。

でも、見える人って見えちゃうんですってね。
ネコ目って呼ぶらしいんですが、
「この程度なら、舞台の端から端まで見えるよ」
とか、自慢げに言うヤツがいるんです!

だけどね、見えない人間は見えないんですよ。
私はものすごいトリ目で、
だから暗転が大の苦手で。

だからそれ故のネタはいくつもあるのですが、

これだけはどうしようもないんですよね。
何十年舞台をやっていても、
とにかく見えないものは見えないんだから。

で、暗転苦手役者の、何よりの味方が、
暗い中でも光る、畜光と呼ばれるシールで、
これを頼りに、暗闇の中を突き進みます。
(暗転の話はこのあたりにも書いています)


今回も、「畜光、まぶしいくらいだよね~」なんて、
他のキャストたちが言うほどチカチカだったのですが、

  まるっきり見えん

その上、私の場合、すぐに方向を見失うという、
二重苦を背負っているもので


なのに・・・、
場当たりの時 舞台監督さんが言ったんです。

「ええと、オープニングの暗転は、
やってみなくても大丈夫かな?」


        (つづく)






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