アポイントメントオンリーの今日、午後3時頃奥野ビルを出て、件の庭園美術館へ「メディチ家の至宝」展を見に行ってきました!庭園美術館が長い改装から再オープンして初めて出掛けたので、訪れるのは本当に久し振り。学生時代から大好きだった庭園美術館、まるでしばらく会えなかった友達に会いに行くような気持ちでした。
元々宮様の邸宅ですからうっそうとした緑に囲まれた敷地内。ここが東京の真ん中であることを忘れてしまうような場所です。
やって来ました、庭園美術館!河村は「アール・デコって素っ気ないなぁ。」なんて言っていましたが、中に足を踏み入れるとキョロキョロ観察していたので、やっぱりここが好きなはず。
勝手口の側の丸窓に奥野ビルの丸窓を思い出します。(奥野ビルの一番端、私達が入居しているお部屋にもあったはずですが、戦火に焼かれて今は壁に塗り込められています。)
ラリックのガラスがはまった玄関ホール。一番端のガラスにはひびが。かつてここが首相官邸として使われていた折、吉田茂が割ってしまったのだとか。床のモザイクも素敵!
玄関ホールのモザイクは色合いもシックで上品。これもアール・デコの好みの色合いだったのでしょうね。こういう造作のひとつひとつにドキドキしてしまいます。
そして肝心のジュエリー展ですが、カメオを主体としたジュエリーコレクションはもちろんですが、フィレンツェから運ばれた肖像画の数々がとても興味深かったです。女性ながら強権を振るったカトリーナ・デ・メディチは信じられない程大量の大粒真珠をドレスに付けていましたし、昔読んだ塩野七海著の「愛の年代記」でお馴染みだった大公妃ビアンカ・カペッロの肖像画(こちらもご多分にもれずたっぷりと大粒真珠を身に着けていました。)を眺めては、まるで旧知の女性に再会したような気持ちになり、17歳でこの世を去ったマリア・デ・メディチの肖像画を見ては切ない気持ちになり…。また、フィレンツェで描かれたにもかかわらず、ベルギーのアントウェルペンの画家が徴用されている点にも興味が湧きました。
特に感激したのが、このコレクションを「フィレンツェから持ち出さない、一般に公開すること」を条件にトスカーナ大公国に全て托したメディチ家最後の血族アンナ・マリア・ルイーザの肖像画。誇り高い女性だったと伝えられる彼女、1685年頃とされるその肖像画の衣装には誰が見ても分かるヴェネツィアンレースが。普段自分が同時代のヴェネツィアンを扱っていることもあり、「この時代、本当に使われていたんだ!」と、何だかしみじみ感動してしまいました。他の肖像画にも襟元に金の糸で作られたラフが。当時の肖像画を見るのが、その時代の服飾やジュエリーの着け方が分かって、一番勉強になりますね。
という訳で、機会がございましたら、是非是非こちらへお出掛け下さいませ!今回の展示も、その展示場所である庭園美術館も、古い物がお好きな方には大満足だと思います。