お客様から「こんなに何度も海外に行って、今まで怖い思いをしたことは無いですか?」とよく聞かれることがあります。本当にお陰様で、今まで「タクシー難民(タクシーしか帰る手段の無いド田舎のフェアで、帰りのタクシーがやって来ず、帰るに帰れなくなること。2~3時間タクシーを待つ場合もあり。)」になったことはあっても、駅で夜を明かすハメになっても(ロンドンのウォータールー駅で、ユーロスターに乗り損ねたフランス人のおじさんと一晩仲良くベンチを分け合ったことがあります。)、ドキドキはするものの、さほど怖い目にあったということはありません。
そういえば、唯一恐ろしい目にあったのは、もう今から6~7年前になるでしょうか。まだ河村とコンビを組む前、ひとりで買付けに行っていた頃のことです。郊外のフェアに出掛ける途中、会場に一番近い鉄道の駅で降り、そこからタクシーに乗ろうと広い駅の構内をウロウロする私。その日は日曜日、駅で降りてみたものの、田舎だからか構内にはまったくといってよいほど人影が無く、タクシー乗り場にはタクシーの姿も見えません。駅員の姿も無く、やっと駅員のいるオフィスを見つけて「タクシーを呼んでもらえますか?」と尋ねても(その当時はまだ携帯電話を持っていませんでした。)、「待っていればそのうち来るから。」とつれない返事。初めてやってきた駅、勝手も分からず途方に暮れていると、向こうからアルコール中毒らしい大女が!普通、アルコール中毒の人は、ひとりでブツブツしゃべったり(頭の中の誰かと会話しているのかも?)するだけで、あまり人に危害を加えてくることはありませんが、この時は何を間違ったのか、私めがけてわめきながらやって来るではありませんか!駅の構内を青ざめながら必死で逃げまどう私、追いかける大女!今までにこんな怖い目に会ったことはありません。
こんな怖い目にあったのは、後にも先にもこのときだけ。結局、駅から大急ぎで逃げ出して大女を振り払うことが出来ましたが、元々駅とはあまり治安の良い場所ではありませんし、誰もいない駅なんて、きっと治安の悪い地域なのでしょう。後にも先にももう二度とあの駅に降り立つことは無いと思います。でも、今だったら、こちらも何か叫んで威嚇するかも…。いやいや下手に刺激して、ナイフなんか持っていようものなら、それこそ危険なので、やはり逃げるだけかもしれません。イギリスでも日本でも「触らぬ神にたたり無し。」なのです。
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