雀庵の「常在戦場/54 対中アジア版NATOを創ろう」
“シーチン”修一 2.0
【Anne G. of Red Gables/339(2021/7/18/日】スポーツはルールが厳しい。ボクシングなどでは体重別でフライ級、ミドル級、ヘビー級などに分かれている。急所を打ったりすると減点になったり。これ以上やると危険だと判断されるとレフリーストップになったり。
戦争は一応「戦時国際法」というルールがある。「軍事的必要性を超える無差別な破壊・殺戮」「捕虜虐待」「化学生物兵器使用」はダメとか規定しているが、強制力も罰則もないから、まあ“紳士協定”。「勝てば官軍、負ければ賊軍」、勝った方が正義で、負けた方はギブアップした後も勝った方の裁判で犯罪者として処刑されたりする。民族浄化、ジェノサイドは“ダメ、絶対!”とは共通認識になっているようだ。それでも戦争は双方とも必死になり、概ね死屍累々の地獄になる。この悲惨さが先進国間では抑止力になっている。
一方でドローン兵器も日進月歩で発達しており、メーカーのCF(実戦映像)を見ると敵の兵士はまるでアリンコ、ゲーム感覚で敵を殺しているよう。攻撃側はまったく痛痒を感じない、葛藤を覚えないだろう。人間対人間の情感とかロマンが感じられない戦争・・・戦争文学のネタにもなりやしない、戦争の堕落だ。
ロボット対人間、さらにロボット対ロボットの実に殺伐とした戦争になる。最前線から人間がいなくなるから戦死が少なくなる、ということは開戦のハードルが低くなることだ。無人兵器を買ったり創ったりするカネと食糧が続く限り停戦にならない。手軽に開戦できるが、人的損耗が小さければブレーキがなかなか利かないから長期戦になるかもしれない。
以上は素人の見立てだが、実際に多くの国がドローン兵器の開発、調達に力を入れるようになった。佐藤仁(学術研究員・著述家)2021/7/16「イスラエル軍、米英仏独伊5か国と初の軍事ドローン共同訓練:台頭する周辺国の軍事ドローンに対抗」から。
<イスラエル国防軍は米英仏独伊軍とともに2週間にわたる初の共同訓練をイスラエル中部のパルマヒム空軍基地で実施している。「Blue Guardian」と呼ばれる共同訓練では5か国の軍人がイスラエルのエルビット・システムズが開発したドローンのヘルメス450の操作を実施。イスラエル国防軍としても今までで最大のドローンの国際共同訓練となっている。
イスラエル国防軍は「今回の共同訓練では、ドローンの地上での操作などいくつものシナリオをシミュレーションしています。5か国との共同訓練は戦略的にとても重要です」と紹介している。イスラエル空軍のアミカム・ノーキン将軍は「イスラエルは軍事ドローンのパイオニアです。今回の国際共同訓練はイスラエルにとっても国際的軍事協調としても重要です」とコメントしている。
イスラエルは2021年5月にハマスとの紛争でドローンによる攻撃を実施していた。イスラエル空軍の将軍が述べているようにイスラエルは軍事ドローンのパイオニア国家だ。一方でイスラエルはハマスからもイラン製のドローンによる攻撃を受けていた。その時はアイアンドームと呼ばれるドローン防衛システムでハマスからのドローンを迎撃していた。
イスラエルの敵国であり、アメリカとも共通の敵であるイランは攻撃用の軍事ドローンの開発に注力している。またトルコも軍事ドローンの開発に注力しており欧州諸国にも輸出している。ロシアも軍事ドローン開発を行っている。
イスラエルだけでなく、今回の共同訓練に参加した米英仏独伊軍にとっても軍事ドローンによる攻撃、迎撃は今後の各国の安全保障、国際安全保障においてとても重要である。また今回6か国で軍事ドローンの共同訓練を行うことによって、イランやロシアの軍事力に対する抑止にもなる>
つまりはドローン兵器競争になっており、結局は“お手軽戦争”が増えそうだが、大国間においては「核兵器が最大の抑止力」という1945年以来の認識は変わってはいない。実際に大国間の戦争危機、例えば米ソ対立、印パ紛争、中ソ対立などでは双方が核兵器を持つことで抑制されてきたのだから実効性は証明されている。
ただ、問題は「中共に核抑止力が効くかどうか」だ。毛沢東は「核戦争で人口が半分になってもどうってことはない。それでもわが国にはまだ3億人がいる。大体、我が国は人口が多過ぎる」とアジア・アフリカ会議で発言して各国首脳陣の度肝を抜いたという。
<中国が核武装を決意したのは、建国後5、6年後の1955~56年という非常に早い時期である。朝鮮戦争(1950~53)、インドシナ戦争(~54)、台湾海峡での国民党政府軍との戦争(54~55)と、立て続けに戦争を行い、しばしば米国の核兵器に威嚇された。朝鮮戦争ではマッカーサーが中国に対して原爆使用を提案し、トルーマン大統領に解任されている。毛沢東は米国のよう
な大国に対して、対等な発言権を持つには核兵器が必要であることを明確に認識していた。
当時の人民解放軍はゲリラ戦中心の前近代的な装備だったが、これを全面的に近代化するには、当時の国家予算の何割もの金が必要であり、それでも米国には対抗できない。これに対して核兵器開発なら1割程度(の資金)でできる。ここから通常兵力は前近代的なまま、核兵器に国防予算を集中する、という思い切った政策がとられるようになった。
毛沢東は人口を全国に散在させ、人民公社で自給自足化することで、原爆によって人口の半分が死んでも、侵略してきた敵を各地域での人民戦争で消滅させうると考えた>(Japan On the Globe(186) 国際派日本人養成講座: 貧者の一燈、核兵器~中国軍拡小史 9回の対外戦争と数次の国内動乱を乗り越えて核大国を目指してきた中国の国家的執念)
習近平は当然、毛沢東路線を継承しているから核兵器の充実、強化を進めている。「核戦争で人口が半分になってもどうってことはない。それでもわが国にはまだ7億人がいる。大体、我が国は人口が多過ぎる」とも思っているだろう。日本が核武装することで中共の侵略を抑止できるのかどうか・・・・
<通常戦力と違って核兵器は「たくさん持てば自国の立場が有利になる」という単純な性格の兵器ではない。原爆は一発で数十万人を殺害できるし、水爆は一発で数百万人を殺害できる。核兵器の破壊力が巨大であるがゆえに、どの国も少数の核弾頭を所有するだけで国際政治のパワーバランスに顕著な変化を引き起こすことができるのである。
領土人口が小さい北朝鮮やイスラエルのような「ならず者国家」でも、地下のトンネル網に隠しておく移動式のICBMや潜水艦に配備するSLBMに100発程度の核弾頭を搭載しておくだけで大量の核弾頭を所有している国からの先制攻撃を抑止できる。これが「核兵器による非対象的な抑止力」と呼ばれる現象である>(伊藤貫「歴史に残る外交三賢人」)
多分これは「普通の国」には通じる理論だが、「国民の半分が死んでも構わない」という習近平・中共に効き目があるのだろうか。大体、人権とか思想信条の自由なんてこれっぱかりもない国であり、人民は党に忠実でなければ強制収容所で奴隷労働させられるか処刑されるか、臓器を切り取られて殺され見世物にされる国である。
たとえ14億の4分の3の10.5億が死んでも3億5000万人が生き残っている! 死者10.5億のうち6億が「厄介者」の貧困層なら、習近平にとっては願ったり叶ったり、その上に先進国を完全に屈服させて世界制覇、空前絶後の大帝国になれるのなら人類史上に残る大成功だ。
小生が習近平なら一か八か、核戦争に賭けるかも知れない。欧米は反撃するかも知れないが、パリとニューヨークを核攻撃されて1000万人ほども死ねばギブアップ、停戦を求めざるを得ない。民主主義国だから停戦を求める国民には逆らえない。
世界制覇とはならなくても中共はアジア・太平洋の覇者、中共同盟国のロシアは欧州・大西洋の覇者、米国は連邦政府を解体されて50の国になり、北米だけに逼塞する二流国になるだろう。日本は生き残っているのであれば東海省倭族自治区になりそう・・・
対中共戦で日本などアジア諸国が生き残るためには核抑止力のみならず、中共を包囲する集団的自衛権同盟「太平洋インドアジア条約機構」(Pacific-India-Asia Treaty Organization、PIATO)も必要だ。NATOと連携すればなお良い。
日本を含めて今のアジア諸国は国防面で米国依存が強いが、米国はかつてのように世界の警察官ではなくなった。中共に手を差し伸べて化け物に育てた主犯は米国だ。国益次第で対中政策も変わるだろうから信用し過ぎると危険である。
豪州・NZを含めたアジアの諸国は単独では巨大な中共の暴走を抑えることはできない。共同で対中安全保障策=PIATOを構築するべきだ。かつて日本は欧米によるアジアの植民地化からの解放を目指して大東亜共栄圏構想を唱えた。今は中共からの危険排除のために団結しなければならない。
目安箱:ishiifam@minos.ocn.ne.jp
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
まぐまぐID 0001690154「必殺クロスカウンター」
“シーチン”修一 2.0
【Anne G. of Red Gables/339(2021/7/18/日】スポーツはルールが厳しい。ボクシングなどでは体重別でフライ級、ミドル級、ヘビー級などに分かれている。急所を打ったりすると減点になったり。これ以上やると危険だと判断されるとレフリーストップになったり。
戦争は一応「戦時国際法」というルールがある。「軍事的必要性を超える無差別な破壊・殺戮」「捕虜虐待」「化学生物兵器使用」はダメとか規定しているが、強制力も罰則もないから、まあ“紳士協定”。「勝てば官軍、負ければ賊軍」、勝った方が正義で、負けた方はギブアップした後も勝った方の裁判で犯罪者として処刑されたりする。民族浄化、ジェノサイドは“ダメ、絶対!”とは共通認識になっているようだ。それでも戦争は双方とも必死になり、概ね死屍累々の地獄になる。この悲惨さが先進国間では抑止力になっている。
一方でドローン兵器も日進月歩で発達しており、メーカーのCF(実戦映像)を見ると敵の兵士はまるでアリンコ、ゲーム感覚で敵を殺しているよう。攻撃側はまったく痛痒を感じない、葛藤を覚えないだろう。人間対人間の情感とかロマンが感じられない戦争・・・戦争文学のネタにもなりやしない、戦争の堕落だ。
ロボット対人間、さらにロボット対ロボットの実に殺伐とした戦争になる。最前線から人間がいなくなるから戦死が少なくなる、ということは開戦のハードルが低くなることだ。無人兵器を買ったり創ったりするカネと食糧が続く限り停戦にならない。手軽に開戦できるが、人的損耗が小さければブレーキがなかなか利かないから長期戦になるかもしれない。
以上は素人の見立てだが、実際に多くの国がドローン兵器の開発、調達に力を入れるようになった。佐藤仁(学術研究員・著述家)2021/7/16「イスラエル軍、米英仏独伊5か国と初の軍事ドローン共同訓練:台頭する周辺国の軍事ドローンに対抗」から。
<イスラエル国防軍は米英仏独伊軍とともに2週間にわたる初の共同訓練をイスラエル中部のパルマヒム空軍基地で実施している。「Blue Guardian」と呼ばれる共同訓練では5か国の軍人がイスラエルのエルビット・システムズが開発したドローンのヘルメス450の操作を実施。イスラエル国防軍としても今までで最大のドローンの国際共同訓練となっている。
イスラエル国防軍は「今回の共同訓練では、ドローンの地上での操作などいくつものシナリオをシミュレーションしています。5か国との共同訓練は戦略的にとても重要です」と紹介している。イスラエル空軍のアミカム・ノーキン将軍は「イスラエルは軍事ドローンのパイオニアです。今回の国際共同訓練はイスラエルにとっても国際的軍事協調としても重要です」とコメントしている。
イスラエルは2021年5月にハマスとの紛争でドローンによる攻撃を実施していた。イスラエル空軍の将軍が述べているようにイスラエルは軍事ドローンのパイオニア国家だ。一方でイスラエルはハマスからもイラン製のドローンによる攻撃を受けていた。その時はアイアンドームと呼ばれるドローン防衛システムでハマスからのドローンを迎撃していた。
イスラエルの敵国であり、アメリカとも共通の敵であるイランは攻撃用の軍事ドローンの開発に注力している。またトルコも軍事ドローンの開発に注力しており欧州諸国にも輸出している。ロシアも軍事ドローン開発を行っている。
イスラエルだけでなく、今回の共同訓練に参加した米英仏独伊軍にとっても軍事ドローンによる攻撃、迎撃は今後の各国の安全保障、国際安全保障においてとても重要である。また今回6か国で軍事ドローンの共同訓練を行うことによって、イランやロシアの軍事力に対する抑止にもなる>
つまりはドローン兵器競争になっており、結局は“お手軽戦争”が増えそうだが、大国間においては「核兵器が最大の抑止力」という1945年以来の認識は変わってはいない。実際に大国間の戦争危機、例えば米ソ対立、印パ紛争、中ソ対立などでは双方が核兵器を持つことで抑制されてきたのだから実効性は証明されている。
ただ、問題は「中共に核抑止力が効くかどうか」だ。毛沢東は「核戦争で人口が半分になってもどうってことはない。それでもわが国にはまだ3億人がいる。大体、我が国は人口が多過ぎる」とアジア・アフリカ会議で発言して各国首脳陣の度肝を抜いたという。
<中国が核武装を決意したのは、建国後5、6年後の1955~56年という非常に早い時期である。朝鮮戦争(1950~53)、インドシナ戦争(~54)、台湾海峡での国民党政府軍との戦争(54~55)と、立て続けに戦争を行い、しばしば米国の核兵器に威嚇された。朝鮮戦争ではマッカーサーが中国に対して原爆使用を提案し、トルーマン大統領に解任されている。毛沢東は米国のよう
な大国に対して、対等な発言権を持つには核兵器が必要であることを明確に認識していた。
当時の人民解放軍はゲリラ戦中心の前近代的な装備だったが、これを全面的に近代化するには、当時の国家予算の何割もの金が必要であり、それでも米国には対抗できない。これに対して核兵器開発なら1割程度(の資金)でできる。ここから通常兵力は前近代的なまま、核兵器に国防予算を集中する、という思い切った政策がとられるようになった。
毛沢東は人口を全国に散在させ、人民公社で自給自足化することで、原爆によって人口の半分が死んでも、侵略してきた敵を各地域での人民戦争で消滅させうると考えた>(Japan On the Globe(186) 国際派日本人養成講座: 貧者の一燈、核兵器~中国軍拡小史 9回の対外戦争と数次の国内動乱を乗り越えて核大国を目指してきた中国の国家的執念)
習近平は当然、毛沢東路線を継承しているから核兵器の充実、強化を進めている。「核戦争で人口が半分になってもどうってことはない。それでもわが国にはまだ7億人がいる。大体、我が国は人口が多過ぎる」とも思っているだろう。日本が核武装することで中共の侵略を抑止できるのかどうか・・・・
<通常戦力と違って核兵器は「たくさん持てば自国の立場が有利になる」という単純な性格の兵器ではない。原爆は一発で数十万人を殺害できるし、水爆は一発で数百万人を殺害できる。核兵器の破壊力が巨大であるがゆえに、どの国も少数の核弾頭を所有するだけで国際政治のパワーバランスに顕著な変化を引き起こすことができるのである。
領土人口が小さい北朝鮮やイスラエルのような「ならず者国家」でも、地下のトンネル網に隠しておく移動式のICBMや潜水艦に配備するSLBMに100発程度の核弾頭を搭載しておくだけで大量の核弾頭を所有している国からの先制攻撃を抑止できる。これが「核兵器による非対象的な抑止力」と呼ばれる現象である>(伊藤貫「歴史に残る外交三賢人」)
多分これは「普通の国」には通じる理論だが、「国民の半分が死んでも構わない」という習近平・中共に効き目があるのだろうか。大体、人権とか思想信条の自由なんてこれっぱかりもない国であり、人民は党に忠実でなければ強制収容所で奴隷労働させられるか処刑されるか、臓器を切り取られて殺され見世物にされる国である。
たとえ14億の4分の3の10.5億が死んでも3億5000万人が生き残っている! 死者10.5億のうち6億が「厄介者」の貧困層なら、習近平にとっては願ったり叶ったり、その上に先進国を完全に屈服させて世界制覇、空前絶後の大帝国になれるのなら人類史上に残る大成功だ。
小生が習近平なら一か八か、核戦争に賭けるかも知れない。欧米は反撃するかも知れないが、パリとニューヨークを核攻撃されて1000万人ほども死ねばギブアップ、停戦を求めざるを得ない。民主主義国だから停戦を求める国民には逆らえない。
世界制覇とはならなくても中共はアジア・太平洋の覇者、中共同盟国のロシアは欧州・大西洋の覇者、米国は連邦政府を解体されて50の国になり、北米だけに逼塞する二流国になるだろう。日本は生き残っているのであれば東海省倭族自治区になりそう・・・
対中共戦で日本などアジア諸国が生き残るためには核抑止力のみならず、中共を包囲する集団的自衛権同盟「太平洋インドアジア条約機構」(Pacific-India-Asia Treaty Organization、PIATO)も必要だ。NATOと連携すればなお良い。
日本を含めて今のアジア諸国は国防面で米国依存が強いが、米国はかつてのように世界の警察官ではなくなった。中共に手を差し伸べて化け物に育てた主犯は米国だ。国益次第で対中政策も変わるだろうから信用し過ぎると危険である。
豪州・NZを含めたアジアの諸国は単独では巨大な中共の暴走を抑えることはできない。共同で対中安全保障策=PIATOを構築するべきだ。かつて日本は欧米によるアジアの植民地化からの解放を目指して大東亜共栄圏構想を唱えた。今は中共からの危険排除のために団結しなければならない。
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