反対尋問とは,主尋問(証人を尋問請求した当事者が行う尋問)に続いて,証人を尋問請求した当事者の相手方が行う尋問を指します。
映画やテレビドラマでは,主尋問における証人の証言を反対尋問で覆して,裁判に勝つというシーンがありますが,実際には,主尋問における証言の矛盾点を突いて証言を弾劾,つまり,証明力のないものにすることは極めて難しいのです。というのは,主尋問に向けて,当事者,訴訟代理人弁護士と証人は相当準備しており,証言に矛盾点があることは滅多にないからです。
そこで,私の場合は,主尋問で証言する内容(これは,尋問以前に提出される,証人の「陳述書」によって事前にわかります。)を精査して,こちらに有利に使えそうなところを念押しすることが多いです。つまり,私は,証人と法廷で論争しません。例えば,信号機の色が赤だったと証言する証人に,信号機の色は青だったのではないですか,と聞いたりしません。
そして,反対尋問で念押ししたところを最終準備書面(証人尋問後,審理の最終盤に裁判所に提出する主張書面)に書くのです。
これを,裏返すと,最終準備書面に書けることを反対尋問で聞いておくべきなのです。