私は、この記事で取り上げられている事件の、被告人のオバ(叔母or伯母)が情状証人(被告人に有利な事情を証言する人間で、多くの場合、家族や雇い主)として尋問された日の裁判を傍聴しました。
訴因(公訴事実)が強盗致死(法定刑は、死刑or無期懲役。刑法240条)であるのに、被告人には刑罰ではなく保護処分(例えば、少年院収容)で終わらせるべきだと宣う弁護人にも驚きましたが、それよりも、被告人とそのオバとのやり取りを聴いていた裁判員の一人が被告人の成育歴(実母から虐待され、継父からも暴力を受けていた等々)に同情して涙を流していたことには驚嘆しました。殺された被害者には、犯人(被告人)の成育歴なんて関係ないのに、です。
このように、我が国の刑事裁判では、被害者、特に亡くなった被害者は完全に置き去りにされて審理が進み、判決となるのです。これが現実です。
しかし、これはどう考えてもおかしいです。なぜなら国(裁判所)は被害者から刑罰権を付託され、それを行使しているだけなのですから。よって、被害者中心の刑事裁判に変えていくべきです。
※参照条文