アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

未来の巨匠 牛田智大を聴く

2017-02-01 10:00:00 | 音楽/芸術

ちょっとしたご縁で、超若手のピアノリサイタルへ出向いてきた。

牛田智大というピアニスト。現在18歳という若さである。見た目は、まさしく現代風で、スタイルが良く可愛く今で言うところのイケメンな好青年だ。そんな彼からどんな音楽が生まれるのか、どんな想いを持って演奏するのかが、興味の中心となったが、2時間に渡るリサイタルをこうして聴き終えてみて、その素晴らしい音楽性とエネルギーに舌を巻く結果となり、熱い気持ちで会場を後にできたのである。

バッハからショパン、そしてベートーヴェン。後半は得意とされるロシア物が並んだプログラム。実に多彩な内容で、これは確かにお披露目リサイタルと採れなくもない。最も感心したのは、多岐にわたる楽曲全てにおいて自己主張があるということ。アントンKがいつも気にかける独自性の部分が最後まで聴きとれたことだった。テクニックが群を抜いていることなど、ここで言うことはお門違いで、生きいきとしたピアノの音色は、どこまでも透きとおりきらきら輝いていた。この辺は、昨年聴いた重く暗いアファナシエフとの音色とは全く違い、生きる勇気を享受した感覚になる。特にバッハのシャコンヌは、音色の幅やスケール感が最高で、聴いていて自分が興奮してくることがわかるのである。しかし何と言っても圧巻は、プログラムのトリを飾った「展覧会の絵」であろう。今思っても初めから終わりまで、牛田の想いが楽曲に現れていたと思える。この演奏が若干18歳の牛田の演奏ということに衝撃を受けるが、まだまだ駆け出しの彼が、今後どんなに大きく羽ばたいていくのだろうかと想像するだけでも嬉しくなってしまう。また機会を見つけて彼の演奏会には出向きたいと思っている。

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5月に予定されていた、スクロヴァチャフキの来日が中止との悲報が飛び込んできた・・・

今年はメインにブルックナーの第5、そしてベートーヴェンのエロイカを中心としたプログラムが予定されていただけに残念至極。昨年末に脳梗塞を患い手術したらしい。とにかく高齢なだけに身体だけは本当に大事にして頂きたい。無理せずゆっくり休養し、是非ともまた再会出来る日を心待ちにしたいと思う。