今朝早くに突然悲しい知らせがあった・・・(2月21日、ミネアポリスにて死去。亨年93歳)
5月の来日がキャンセルされ、心のどこかでいつも気にかけていた事がとうとう現実となってしまった。
昨年1月に「極致のブルックナー」と銘打って行われた2回の演奏会がアントンKにとって最後となった。この時は、中一日置いた1/21と1/23の2日間に第8番一曲と言う演奏会で、芸劇とオペラシティという場所を変えての演奏会。どちらの演奏も心に響く内容だったことは、昨年書いた通りだが、この2日間とも独特な雰囲気に包まれていたことは、今考えてみても大変貴重な体験だった。ちょうど2000年のヴァントの第9の時(オペラシティホール)、2001年9月の朝比奈の第9の時(大阪シンフォニーホール)と同じような、聴衆の雰囲気と緊張感。心のどこかで、もう聴けないんではないか、最後のお別れの演奏ではないのか、と思ってしまう彼岸の匂い。こんな気持ちがこの時宿っていたことは事実だ。
この演奏会の直後、BSにて芸劇の方の演奏会が放映されたが、その時の終演後のオケの方々の様子がどこかおかしいことに気づかされていた。管楽器奏者の方は、耐えきれず目を拭っていたが、やはりあの時の雰囲気は、いつもの読響とはどこか違い、安堵の想いだけではなかったような気がしている。
アントンKのとってのスクロヴァチャフスキとの出会いは、かなり昔のこととなってしまうが、NHK響や読響の指揮者としてたびたび来日してくれたおかげで、実演奏にも数多く触れることができ、思い出多き指揮者の一人となった。演奏からはその年齢など思いもつかないのだが、現実は93歳という高齢であり、我々ファンの想いも届かず旅立ってしまった。今はとても悲しい。辛い。ブルックナー演奏においても、また一人名指揮者が逝ってしまったのである。
このスクロヴァチャフスキのような演奏解釈は、実演でこそ理解でき感動する部類のもので、数多く発売されている録音では、中身は半減してしまうから・・
今までの数々の名演奏に感謝申し上げたい。
深く深くご冥福をお祈り申し上げます。
合掌