アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

今年のインバルに期待!

2017-02-19 10:00:00 | 音楽/芸術

エリアフ・インバルというイスラエル出身の指揮者がいる。後期ロマン派の作曲家、特にマーラーやブルックナーを得意としており、大変な親日家でもあることから、毎年のように来日して我々ファンを楽しませてくれる指揮者の一人。

そのインバルも、今年81歳になったというから、いささかびっくりしている。今まで数多くの演奏に触れることができ、数々の感動を与えてくれたインバルだが、まだお若いという感覚だっただけに衝撃を受けてしまった。このブログでも、たびたび書き残してきたが、インバルとの出会いは、およそ30年くらい遡ることになる。それは、レコード録音であり、またほとんど同時期にフランクフルト放送響と来日もされ、我々を魅了したことが思い出される。やはりマーラーやブルックナーの交響曲中心のプログラムだったが、マーラーの交響曲に至っては、チクルスで全曲立て続けに演奏して驚嘆した思いがある。今でこそ、マーラーチクルスなど、珍しくはなくなったが、当時は中々演奏される機会に恵まれず、第1、第4.第5あたりがせいぜいだったのではないか。特に大がかりな、第2、第3、そして第8など、実演奏に接する機会など無かったアントンKには衝撃的だったのだ。その後、徐々にこういったマーラー演奏も増えて、いわゆるマーラーブームと呼ばれた時代がやってくるのだが、その立役者の一人が実はこのインバルだったのではないかと考えている。今までに東京都交響楽団ともマーラーチクルスを2回完成させているし、この日本のオーケストラにとってもとても縁の深い指揮者の一人だろう。

70年代から80年代にかけては、アントンKにとってのマーラー演奏は、何をおいてもバーンスタインが基本となり手本となっていたのだが、そんな時期に聴いたインバルの演奏は、ダイレクトな表現で、聴衆をぐいぐいと引っ張り、バーンスタインの脂ぎった熱さとは対照的な、クールでストレートな燃焼とでも言おうか。今思いおこしてみても、当時の中堅指揮者であったインバルは、アントンKの中では、一線を画していた事は間違いない。

90年代には、いよいよマーラーブームが到来して、海外のオーケストラがこぞって来日し、マーラー演奏を競ったもの。このインバルはもちろん、ベルティーニや、シノーポリの全曲演奏会は特に印象深い。そんな今から思えば華やかな、異常とも言える時代を越えて、今日のインバルは、さらに年齢を重ね円熟の極致に達している。ついこの間(と言ってももう3年も過ぎようとしているが・・)完結した都響とのマーラーチクルスの表現を聴くがいい。初めて出会った80年代とは、まるで別人のような奥の深い表現力や、心の叫びを聴き取れたのである。

今年は、べルリン・コンツェルトハウス管弦楽団と来日しマーラー、それも一番お得意の第5を我々にご披露頂ける予定。この日は、何が何でも足を運ぶべきだろう。今から心待ちにしているアントンKなのだ。