毎年今の時期に撮影に出ると思い出すことがある。それは冬の上越線での撮影のことだ。
まだ上越国境をEF16が現役で活躍していた頃、アントンKも学生だったことから、試験休みをかこつけてよく上越線へと出向いていたのだ。この時代は、もちろんまだEF58も現役で全国を走っていた時代だったが、当時から周りの仲間の意見に反し、どういう訳かアントンKには北のゴハチが魅力的に感じて、機会を見つけては長岡区や高崎区のゴハチを狙いに行ったもの。大窓で東海道を走る暖地型ゴハチもカッコ良いが、スノープロウやツララ切りを装着し電暖灯が眩しい寒冷地型仕様は自分の中では別格だった。特に豪雪地の上越線を行くゴハチは、別形式のごとく印象が違っていたように思う。
ここでは、三国峠の番人とも言えるEF16の一番好きだった11号機。福米時代から引きついでいる貫通扉にもヒサシが残っている機関車を掲載してみる。ここ石打でのバルブ撮影は何度となく行っているが、この時が一番気象状況がよく気に入っている。深夜の時間帯に、特急、急行が4本、立て続けにやってきて、さらにその合間に写真のような貨物列車が来るのだから、今にして思えばこれが本当のゴールデンタイムと言えるかもしれない。無心になってシャッターをきっていたからか、眠気や寒さなどは忘れ去り、後になってから気だるくなった日のことがまるで昨日のことのようだ。
1980-02-10 660レ EF1611+EF15163 上越線/石打にて