写真の整理を進めていると、忘れかけていた画像と巡り合うことがままある。不思議なもので、そんな写真でも当時の状況や想いをすぐに思い出せる場合があり、PC作業の手を留めて見入ってしまう。いずれ自分だけの小さな想いだから時間とともに忘れていくのかな、と少し寂しくもなってくるが、そうなる前に今後はここで少しでも書き留めておこうと思う。
最晩年、東京と九州を結んでいた寝台特急は、混結列車の「富士・はやぶさ」だった。例外なく春のダイヤ改正でその運転が廃止され、伝統ある名列車達は消えて行った。今回の掲載は、その「富士。はやぶさ」下り最終列車の思い出のシーン。
ファンで溢れ返った横浜駅ホームに陣取り、しばし列車の到着を待ったが、いつもとはかなり違う雰囲気に自分も飲み込まれ、変に緊張していたことが思い出される。定刻、ロクロクのライトが見え長い汽笛とともにホームに滑り込んできた。思いのほかゆっくりゆっくり近づいてきたロクロクは、HMも誇らしげに見え、檜舞台に上がった役者のよう。運転室には、5~6人の緊張した面持ちの乗務員達が見え、最終列車といことを意味していた。
今回は通り過ぎた後姿のものを掲載。速度が遅過ぎて背後が流れていないが、今はこれはこれでよかったと思っている。なわを張り、何百人ものファンが待つホームへと威風堂々入線するブルトレ「富士・はやぶさ」は、最後の最後まで我々に思い出を残してくれた。
2009-03-13 9001レ EF6653 富士・はやぶさ 横浜駅にて