長年鉄道撮影をしているアントンK。被写体は偏ることなく、気に入った車両たちや思い入れのある車両を撮影してきたつもりだが、あらためて振り返ってみると、どうしても身近に接することのできた車両達の撮影が多くなっていることに気づかされる。それは生まれ育った関東が主の撮影地となったが、残された写真は、いわゆる記録写真が多く、興味のある方々でないと、そこに写されている車両の価値、その写真の意図は理解出来ないものばかりが残されていると言っていい。それは趣味性が高いとも言えるが、一部の興味のある人たちにしか分かり合えない特殊なものとして扱われるだろう。まして家族に伝承していくことなど意味がなく、将来を思うと少し憂鬱になっている今日この頃なのだ。
「何をどう撮るか!」という写真の基本に立ち返ってみれば、少し視野を広げるだけで、随分とカメラワークが変わり新しい発見がファインダーの中に広がる。これこそ撮影の醍醐味だが、今後はこうした撮影を心がけて楽しみたいと思っている。そして被写体としてはやはり蒸機が主力になっていくだろうか。鉄道撮影として一番わかりやすいが一番の難物だと理解しているから、奥が深く手ごわいことだろう。そこに写っているものだけを感じるのではなく、人それぞれに持っている情のようなものが感じられる写真が理想。常に機会を狙っていきたい。
掲載写真は、バケペンで撮影した蒸機重連の試運転列車。現在とはかなりイメージが違うが、この時は夕日に照らされた蒸機が美しかったことを思い出す。
1994-12-29 試9736ㇾ C58363+D51498 JR東日本/上越線:八木原付近