国鉄が解体される直前、アントンKは関西で最後の撮り納めをしていた。関東圏で暮らしていると、どうしても関西の地には一種の憧れを抱き、当時は年に何度かは足を運びたくなり、演奏会のスケジュールとともにカメラを持って線路端に出ていたのだ。今にして思えば、とても有意義な話、贅沢極まりない時間だった。その時は、微塵も感じなかったが、日中はどこかで鉄道撮影に没頭し、夜は好きな音楽に集中するといった時間は、最近ではなかなか持てなくなった。やはり自分も若く、好きなことに一心になれたからであり、そう思うと、自分も含めて世の中変わってしまい寂しい限りだ。
掲載写真は、EF58がけん引した「国鉄ご愛顧感謝」号。山崎付近で走りを撮影し、京都まで戻って停車中を近影している。関西のゴハチの虎の子150号機は、茶色になったばかりのお姿で、我々の前に鎮座しており、そのあまりに綺麗な車体にほれぼれしてしまったことを思い出す。ヘッドマークにも、「好きやねん」と記してしまう関西流のシャレが心憎くて好きだった。
1987-03-29 EF58150 東海道本線:京都駅にて