東海道本線で活躍するEF58を横目で見ながら、東北・上信越線にも北のゴハチや別の被写体を追い、撮影に明け暮れていた80年代。残ったフィルムの画像を見ても、アントンKにとって一番血気盛んな時代で、何をするにも、何処へ行くにも有意義な時間を送れて、今更ながらとても幸せな時間だったと思っている。同じ一日24時間でも、今とは密度が違うというか、時の流れ方がまるで変ったと思える。これは音楽鑑賞でも当てはまり、自分自身の集中力の差ではないか、と考えている。没頭する力とでもいうか、気持ちを極端に傾けることが昔より難しくなったのかと思う。色々な経験から集中できず雑念が湧き、結果だけを求め、それを重んじてしまい、一番肝心な気持ちがないがしろになってしまう。これでは、充実感は味わえないのだ。無心になっていたあの頃を懐かしく思い出しながら、新たなステージで奮起してみたい。
EF16・15やEF58が去ってしまっても、アントンKの上越詣ではしばらく続いていた。それは、クイーン「とき」が新幹線に奪われて一気にローカル線化した上越線だったが、165系電車が最後の活躍をしていた地区でもあり、また縁が無かった583系まで季節臨で走るようになったからなのだ。掲載画像は、そんな機会に上越へ行き撮影出来たEF641000による専用貨物列車。ここ上越で産声を上げ、それまでのEF16やEF15を一気に淘汰して20年近くたち、こんな重連の姿も板に就いた頃の画像。山にコダマするロクヨンのブロア音を聞くがいい。これこそロクヨンセン本来の姿を再認識することだろう。
1996-03-08 6779ㇾ EF641037+1039 JR東日本/上越線:石打付近