
昔は、天気が悪いと撮影に出向くことをしなかった。どうしても撮影したい列車でも、たとえば御召列車のように、その日のその時刻と決まっている場合を除き、積極的にはなれなかった。ただし、遠征して地方を回る場合は、そうもいかない。かなりやる気を損ねて、それでもお義理のごとくシャッターは切る。でもそんな気持ちで撮ったものは、ろくなもんじゃない。気持ちが画像に表れる典型的な実例なのである。
しかしここまでは、フィルムカメラで撮影していた時代でのこと。デジタルカメラを使った撮影では、そのまま当てはまらないことが多くなった。高感度撮影が代表例だが、絶対にフィルムカメラでは、シャッターを切らない暗さでも、今のデジタルカメラで撮影すると写ってしまう。こんな驚きに昨今は慣れつつあるわけだ。フィルムカメラと比較すること自体が、誤りかもしれないが、圧倒的に綺麗に、そしてどんな悪条件でもよく写ることは確かなようだ。時代とともに、それは進化して、アントンKの目もとっくに抜かされてしまって、撮影していてどこか憎たらしく思う時がある。まあ仕方あるまい。こちらは年々老化が進み、見えてたものも見えなくなるのだから・・情けない話になった。
さらに最近、現代の写真の楽しみ方は、撮影した画像を自分流にアレンジして、自分の理想の画像を作り上げることではないか、と思い始めている。確かに写真には、記録的要素が大きく、そこから逸脱することは避けたいが、こういう風に見せたいとか、好みの被写体をどう撮りたいかということを、撮影後からでも検討して一つの作品にするところまでが趣味の世界のように思うようになった。我々のお仲間内では、これを「Pモード」と呼んでいるが、このPモードまで画像を追い込んで、撮影を楽しんでいるのである。アントンKも、古い頭の意識改革を進めて、現代のカメラ、写真を楽しみたいと思っている。
こんな中、ネットに出回っている写真を見て、それと同じように撮ることだけに専念し、自分がどう撮影したいのかという大前提も持たずに線路端に立つ拝が、最近やたらと目に付くのだが、この世界でも、もう少し独自性を意識して撮影を楽しんでもらいたいと切に思っている。どれを見ても同じ画像が林立し、それで満足ならばそれでいいが、せっかく好きで始めた趣味なら、もっと自分を出しても良いのではないだろうか。お若いファンを横目で見ていて、最近考えさせられるのである。
雨の日の撮影画像を探したが、なかなか見つからず、今回は北海道遠征時の時の画像を掲載しておく。いまや懐かしさも漂うようになってしまった「北斗星」。予報が外れ、夜明けから雨だと心がすさむ。しかしこんな経験から今日が成り立っていると自分に言い聞かせて線路端に立つ。ナナゴの面影を残すED79だが、やはり晩年の姿より、ひし形のパンタを上げたこの時代の方がカッコいい。
2007-05-27 1ㇾ ED79 4 北斗星1号 JR北海道:海峡線/ 泉沢
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