新日本フィルハーモニー交響楽団によるオラトリオ「四季」を鑑賞してきた。
ハイドンのオラトリオと言えば、「天地創造」の方が先に来てしまうアントンKだったが、今回はもう一つの「四季」をたっぷりと聴いてきた。なかなかハイドンまでは、普段鑑賞する間もなく、不勉強の続くアントンKではあるが、生演奏では滅多に聴けないであろう楽曲を、いつもの新日本フィルの定期演奏会で演奏するとあれば行かない手はない。尊敬しているコンマスの崔氏も乗っているとあらば、迷うはずもないのだ。
オラトリオというと、宗教性が高く教会音楽に寄ったもののように思われがちだが、この「四季」に関しては、神の創造物というよりは人間界の自然がテーマになっているようだ。アントンKがハイドンを聴いたのはいつ以来のことだろうか。ハイドンと言えば、交響曲がやはり一番思い入れがある。学生時代に勉強した82番の「熊」は、当時の教授がハイドン研究家の中野博司氏だったこともあり、多々思い出も多いのだ。昔は、朝比奈隆もハイドンの交響曲をよくやっていて、実演で何度も聴いたが、まともに鑑賞するのは、そこまで遡ってしまうだろうか。
さてどんな演奏かと言えば、まずソリスト達の心のこもった歌声に圧倒されてしまった。3人のソリストそれぞれが楽曲を楽しみ、そして慈しむかのように囁き、時に熱唱するのである。またそれにつられてか、合唱団も各声部が雄弁に響き、聴いていて心地よい。それもそのはず、指揮者のイェアンニン氏は、合唱指揮のスペシャリストなのだそう。明快な指揮ぶりに表れた音楽は、明るくそしてどこまでも深かった。ハイドンの素直で美しいメロディが、久々にアントンKの心に響いたのである。全奏でも、各声部がきっちり聴こえるバランス感覚は、ここ最近の新日本フィルの真骨頂。弦楽器をはじめ、木管、金管、そしてティンパニに至るまで好調を保っていたと思う。演奏比較までは語れないが、古典から近現代まで幅広い音色を奏でる新日本フィル。また一段と磨きがかかったようである。
新日本フィルハーモニー交響楽団 定期ルビー公演
ハイドン オラトリオ「四季」
指揮 ソフィ・イェアンニン
ソプラノ 安井 陽子
テノール 櫻田 亮
バス 妻屋 秀和
合唱 栗友会合唱団
合唱指揮 栗山 文昭
コンマス 崔 文洙
2019-02-16 すみだトリフォニーホール