2011年4月29日公開 119分
宝塚~西宮北口間を約15分で走る、えんじ色の車体にレトロな内装の阪急今津線。後輩に婚約者を寝取られたOL翔子(中谷美紀)。恋人カツヤ(小柳友)のDVに悩む女子大生ミサ(戸田恵梨香)。息子夫婦との関係がぎくしゃくしている老婦人(宮本信子)。セレブ気取りの奥様たちとの付き合いに疲弊する平凡な主婦・伊藤(南果歩)。おしゃれな大学になかなか馴染めない地方出身の男女(勝地涼・谷村美月)。年上の会社員と付き合いながら、憧れの大学を諦めきれない女子高生(有村架純)。電車内という限られた空間で、それぞれの人生がほんのちょっと重なり合い、影響し合い、そして離れていく…数々の出会いが重なり、そこに生まれる小さな愛の奇跡。勇気を持って踏み出せば、いつもとは全く違う景色が、人生が、そして素敵な出会いがあなたを待っている。
「その出会いは偶然なんかじゃ……ない」「終着駅は、きっと笑顔。」
というキャッチコピーに素直に肯ける作品でした。
冒頭で、主なキャストたちの大まかな人物紹介エピソードが描かれます。これによって登場人物のキャラがある程度伝わるので、電車内での展開に自然に引きこまれていくのです。
後輩に婚約者を奪われた復讐に、純白のドレスで結婚式に乗り込んだ翔子。美人で仕事もできる翔子の強さが裏目に出て、妊娠を武器に守ってあげたいオーラで婚約者を寝取られてしまった悔しさを晴らしたい思いで出席したものの、結局は傷心を抱えて会場を後にします。翔子のような強さは私にはないけれど、弱さを武器にまんまと欲しい男を手に入れる後輩にはこんな方法を取っても許されるんじゃないかと思ってしまいました。披露宴会場で新婦の友人にすまして言うセリフが
。事情を知っているだろう新郎の母の申し訳なさそうな、哀れむような会釈も印象に残りました。あれでいたたまれなくなったんだろうなぁ。
帰途の電車内で、孫(芦田愛菜)を連れた老婦人とふとしたことで会話(聞いてると涙がじわーっと出てきちゃうの)を交わしたことが、彼女を新しい生き方に誘います。
翔子が降りた後、そこに乗り合わせていたミサは、彼女の来ていたドレスの話題でカツヤを怒らせてしまいます。車内で大声で怒鳴る姿に老婦人の孫は怯えて泣きだし、それをまたカツヤが怒鳴る・・・これだけでも恋人への気持ちが萎えるよね~~
さらに降りた駅のホームで突き飛ばされ膝をすりむいたミサに老婦人は絆創膏を貼りながら忠告を与えます。それがミサの転機となるのです。
ミサに影響を与えたもう一人は女子高生の悦子。ちょっとおバカだけどハートフルな社会人の彼を友人に自慢している姿がミサにはちょっぴり羨ましく輝いて見え、思わず彼女に「合格諦めずに頑張れ」ってエールを送っちゃいます。(TV放送では悦子と彼のエピソードがカットされていたので、ミサが何故悦子の悩みを知ってたのかわからなかったのですが、公式HP見てちょっと納得)
一方、軍オタで地方訛りの抜けない小坂と、同じく地方出身で垢抜けずに友人たちの中で浮いている美帆もこの電車内で言葉を交わすようになります。小坂に名前を聞かれ、権田原という苗字が恥ずかしくて答えられなかった美帆ですが、勇気を出してそのことを伝えたことから二人は友達としてスタートするのです。このエピソードはとても爽やかです
さて、話は数カ月先に飛び、ミサは友人の助けもあってDV男と別れることが出来ました。すっきりした顔の彼女が乗り合わせたのは、電車内で暴虐無人に振舞うオバタリアン軍団です。(彼女たちは前半部分でも同様に振舞っていましたが、後半更にヒートアップしてます)中の一人が胃通を訴えているのにこれから行くランチのことしか頭にない彼女たちにむかついたミサは彼女(伊藤)を介抱して途中下車します。伊藤はミサに、本当は高いランチを食べに行くより家族とラーメンを一緒に食べに行く方が自分は良いのだと話します。そこでミサは考え方の違う人たちと無理して付き合っても仕方ない。決めるのは自分だというアドバイスをするの。それは丁度老婦人からのバトンを受け継いだかのようです。
ミサと別れた後のすっきりした伊藤の晴れやかな笑顔が素敵です。
同じ頃、翔子の方も職場を変え転居した最寄駅のホームで、小学生の女の子がいじめに遭っているのを目撃します。女の子の毅然とした態度と機転の効いた言葉に昔の自分が重なり、思わず声をかけるの。前半でこの子は自宅へ帰る道を歩きながら「助けて」と心で叫んでいたのですが、それはういう理由だったのかとわかり、翔子が言葉をかけたことが、少女にはまさに救いとなったことがわかります。こんな風にさりげなく気遣うことのできる翔子ってやっぱり凄いな
そして彼女たちと入れ違いに例のオバタリアンたちに遭遇した老婦人は、孫の素直な正論(電車の中で五月蠅くしちゃいけないんだよ)に逆切れしたオバタリアンに遂に堪忍袋の緒が切れて、終点まで説教を始めるの。普段物静かな彼女の思わぬ迫力に溜飲が下がるけれど・・・多分効果ないのよね(^^;だからこそのオバタリアン。恐るべし!!でも一時的にでもやりこめた老婦人、あっぱれです
この老婦人は忙しい息子夫婦に代わり、頻繁に孫の面倒を見ているようですが、有難迷惑なデコパージュの贈り物をわざと嫁にしたり、辛辣に他人を批判する一方で、亡き夫を思い出させる青年との会話がきっかけで犬を再び飼い始めるような可愛らしいところもあります。
何より品があって凛とした佇まいが素敵。
私もこんなばーさんになりたいぞ
間違ってもオバタリアン軍団にはなるまいぞ・・・もう遅いか?
登場人物たちはどこにでもいそうな市井の人々です。ただ同じ電車に乗っただけの人々です。良い人もいれば、悪い人もいて、無邪気さと厚かましさも混在してる。だけど出会いはいつでも必然なんだって思えてきちゃう、そんな作品です。あぁ、劇場で観とけばよかったな
宝塚~西宮北口間を約15分で走る、えんじ色の車体にレトロな内装の阪急今津線。後輩に婚約者を寝取られたOL翔子(中谷美紀)。恋人カツヤ(小柳友)のDVに悩む女子大生ミサ(戸田恵梨香)。息子夫婦との関係がぎくしゃくしている老婦人(宮本信子)。セレブ気取りの奥様たちとの付き合いに疲弊する平凡な主婦・伊藤(南果歩)。おしゃれな大学になかなか馴染めない地方出身の男女(勝地涼・谷村美月)。年上の会社員と付き合いながら、憧れの大学を諦めきれない女子高生(有村架純)。電車内という限られた空間で、それぞれの人生がほんのちょっと重なり合い、影響し合い、そして離れていく…数々の出会いが重なり、そこに生まれる小さな愛の奇跡。勇気を持って踏み出せば、いつもとは全く違う景色が、人生が、そして素敵な出会いがあなたを待っている。
「その出会いは偶然なんかじゃ……ない」「終着駅は、きっと笑顔。」
というキャッチコピーに素直に肯ける作品でした。
冒頭で、主なキャストたちの大まかな人物紹介エピソードが描かれます。これによって登場人物のキャラがある程度伝わるので、電車内での展開に自然に引きこまれていくのです。
後輩に婚約者を奪われた復讐に、純白のドレスで結婚式に乗り込んだ翔子。美人で仕事もできる翔子の強さが裏目に出て、妊娠を武器に守ってあげたいオーラで婚約者を寝取られてしまった悔しさを晴らしたい思いで出席したものの、結局は傷心を抱えて会場を後にします。翔子のような強さは私にはないけれど、弱さを武器にまんまと欲しい男を手に入れる後輩にはこんな方法を取っても許されるんじゃないかと思ってしまいました。披露宴会場で新婦の友人にすまして言うセリフが

帰途の電車内で、孫(芦田愛菜)を連れた老婦人とふとしたことで会話(聞いてると涙がじわーっと出てきちゃうの)を交わしたことが、彼女を新しい生き方に誘います。
翔子が降りた後、そこに乗り合わせていたミサは、彼女の来ていたドレスの話題でカツヤを怒らせてしまいます。車内で大声で怒鳴る姿に老婦人の孫は怯えて泣きだし、それをまたカツヤが怒鳴る・・・これだけでも恋人への気持ちが萎えるよね~~

ミサに影響を与えたもう一人は女子高生の悦子。ちょっとおバカだけどハートフルな社会人の彼を友人に自慢している姿がミサにはちょっぴり羨ましく輝いて見え、思わず彼女に「合格諦めずに頑張れ」ってエールを送っちゃいます。(TV放送では悦子と彼のエピソードがカットされていたので、ミサが何故悦子の悩みを知ってたのかわからなかったのですが、公式HP見てちょっと納得)
一方、軍オタで地方訛りの抜けない小坂と、同じく地方出身で垢抜けずに友人たちの中で浮いている美帆もこの電車内で言葉を交わすようになります。小坂に名前を聞かれ、権田原という苗字が恥ずかしくて答えられなかった美帆ですが、勇気を出してそのことを伝えたことから二人は友達としてスタートするのです。このエピソードはとても爽やかです

さて、話は数カ月先に飛び、ミサは友人の助けもあってDV男と別れることが出来ました。すっきりした顔の彼女が乗り合わせたのは、電車内で暴虐無人に振舞うオバタリアン軍団です。(彼女たちは前半部分でも同様に振舞っていましたが、後半更にヒートアップしてます)中の一人が胃通を訴えているのにこれから行くランチのことしか頭にない彼女たちにむかついたミサは彼女(伊藤)を介抱して途中下車します。伊藤はミサに、本当は高いランチを食べに行くより家族とラーメンを一緒に食べに行く方が自分は良いのだと話します。そこでミサは考え方の違う人たちと無理して付き合っても仕方ない。決めるのは自分だというアドバイスをするの。それは丁度老婦人からのバトンを受け継いだかのようです。
ミサと別れた後のすっきりした伊藤の晴れやかな笑顔が素敵です。

同じ頃、翔子の方も職場を変え転居した最寄駅のホームで、小学生の女の子がいじめに遭っているのを目撃します。女の子の毅然とした態度と機転の効いた言葉に昔の自分が重なり、思わず声をかけるの。前半でこの子は自宅へ帰る道を歩きながら「助けて」と心で叫んでいたのですが、それはういう理由だったのかとわかり、翔子が言葉をかけたことが、少女にはまさに救いとなったことがわかります。こんな風にさりげなく気遣うことのできる翔子ってやっぱり凄いな

そして彼女たちと入れ違いに例のオバタリアンたちに遭遇した老婦人は、孫の素直な正論(電車の中で五月蠅くしちゃいけないんだよ)に逆切れしたオバタリアンに遂に堪忍袋の緒が切れて、終点まで説教を始めるの。普段物静かな彼女の思わぬ迫力に溜飲が下がるけれど・・・多分効果ないのよね(^^;だからこそのオバタリアン。恐るべし!!でも一時的にでもやりこめた老婦人、あっぱれです

この老婦人は忙しい息子夫婦に代わり、頻繁に孫の面倒を見ているようですが、有難迷惑なデコパージュの贈り物をわざと嫁にしたり、辛辣に他人を批判する一方で、亡き夫を思い出させる青年との会話がきっかけで犬を再び飼い始めるような可愛らしいところもあります。
何より品があって凛とした佇まいが素敵。

私もこんなばーさんになりたいぞ

間違ってもオバタリアン軍団にはなるまいぞ・・・もう遅いか?

登場人物たちはどこにでもいそうな市井の人々です。ただ同じ電車に乗っただけの人々です。良い人もいれば、悪い人もいて、無邪気さと厚かましさも混在してる。だけど出会いはいつでも必然なんだって思えてきちゃう、そんな作品です。あぁ、劇場で観とけばよかったな
