杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

マジック・ロード 空飛ぶ仔馬と天空の花嫁

2022年07月02日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2022年1月7日公開 ロシア 112分

意地悪な家族と暮らすイワン(アントン・シャギン)は、お人好しなために損ばかりしている。ある日、父親から小麦畑を見張るよう命じられた彼は、そこで白く光る馬を見つけ、沼にはまったその馬を助ける。翌朝、イワンの前に人間の言葉を話すポニーが出現。昨夜の馬が、助けてくれたお礼にとイワンの元へ遣わせたのだ。ポニーは一瞬にして千里を駆けることができ、イワンを城下町へと連れて行く。ひょんなことから王様に恥をかかせたイワンは、王様から無理難題を突きつけられてしまい……。(映画.comより)

 

ロシア民話「金色の馬」「火の鳥」「イワンの馬鹿」などを巧みな構成でまとめた詩人エルショーフによる童話「せむしの仔馬」を映画化したファンタジーアドベンチャー作品とのことで、そういえば「イワンの馬鹿」は昔読んだことがあったっけと久々童心に還っての鑑賞。

でも大人になった今は、「イワンってばほんとおバカさん」と冷ややかに見てしまいます。ただ、そのバカがつくほどのお人好しな性格が次々と味方を作り助けて貰える展開になると、「人間やっぱり素直で正直が一番」とも思えてくるから不思議 

登場人物たちの衣装や動きもどこかコミカルで、風景などのVFX映像も凝っています。お話の中に、現代的なユーモアもたっぷり混ぜ込んでいるのと、天馬を初め、ハリネズミやリス、クジラにカニといった動物たちも沢山出て来て、ファミリーで楽しめる娯楽作でした。

イワンは困っている人(動物でも)を見ると、自分の置かれている状況などおかまいなしに、そちらを助けずにはいられないお人好しです。畑を荒らす白い馬を知恵を使って捕まえようとしますが、沼にはまってしまった馬を見ると放っておけず、馬が涙を流しているのを見ると「もう畑を荒らすな」と約束させて逃がしてあげるんですね。この時の立ち回りで更に荒れてしまった畑に頭を抱える彼が目を覚ますと、豪華な鞍を付けた2頭の立派な馬とポニーがいて、ポニーは母(白馬)が助けてくれたお礼に馬をプレゼントしたこと、イワンには相談相手が必要だと自分を遣わしたと話します。馬を売るため、ポニーはイワンを王様の城下町へ連れて行きます。

ポニーはイワンに賢く立ち回るよう忠告しますが、イワンは思ったままに行動してしまいます。彼は王様(ミハイル・イェフレモフ)は民を思う素晴らしい為政者だと信じていますが、実際は・・・なのは良くある話というか現実を皮肉っているようにも見えます

ひょんなことからイワンを厩係に召し抱えることになった王様ですが、明るく正直で、働き者のイワンが都の人たちから愛され人気者となっているのが気に入らず、何とか排除しようとします。王様の取り巻きが入れ知恵をして、火の鳥を捕まえろだの、王様の花嫁を連れて来いだのと無理難題を命令します。その度イワンはポニーの力を借りながらも最後は彼自身の人の好さが味方して命令をこなしていくの。 ポニーも、危険だから逃げようと言っても聞かないイワンに呆れながらも彼を助けるんですね

でも王様の花嫁となる天空の雲姫(ポリーナ・アンドレヴァ)にイワンは恋しちゃうんですね。姫の方も真面目で正直なイワンに好意を持ちます。見つかったら身の破滅となるのを承知で、摘んだ花を姫に捧げようと塔を登るイワン。こんなことされたら乙女心は傾いちゃいますよね

王様との結婚に心動かない姫は、「海に落とした祖母の指輪」がないと結婚できないと王様に言います。ところが、姫の役に立ちたいイワンがその指輪を探しに行くと言い出します。姫とイワンの本音を察したポニーも呆れながらもまたまたイワンを助けるんですね。指輪は大クジラが呑み込んでいました。クジラは100隻もの船を飲み込んだ罰で鎖で縛られ島になっていましたが、イワンたちの機転でくしゃみをさせて吐き出させて自由にしてあげます。クジラはそのお礼にカニに指輪を届けさせました。

指輪を前に自分の姫への気持ちを自覚したイワンは、こっそり姫の部屋に忍び込んで指輪を差し出し求愛しますが、家来たちに見つかり処刑が決まります。イワンを案じる雲姫の前に、この騒動で死んだ筈のポニーが現れます。姫は喜びながらも、困ったことになったとポニーに言います。王様と結婚したくない姫は彼に「三つの大釜(煮えたぎったお湯、氷水、煮えたぎったミルク)に順に入る秘術で若返って欲しい」と頼んだのですが、家来がイワンに実験台になってもらおうと言い出したのです。熱湯には指輪、氷水には火の鳥の羽根で身を守れますが、最後の釜ではこの世の果てにある生死の花が必要です。王様に撃たれ傷付いていたポニーですが、イワンのためにこの花を取りに行くことを決意します。

3つの大釜の前に引き出されたイワンは、自分の罪は王様の婚約者である天空の雲姫を恋した事だと気持ちを正直に話し、人々はその言葉に胸を打たれます。王様に突き落とされたイワンですが、姫の投げ込んだ指輪と火の鳥の羽根で二つの釜を無事切り抜け、最後の釜へ・・・

一方、地の果てに辿り着いたポニーは生死の花から「自分を摘んだ者は死ぬ」と警告されながらもイワンのために花を摘みました。

イワンは死んだと思って人々が帰ろうとした時、生死の花が大釜に舞い落ちます。すると立派な衣装をまとったイワンが現れました。それを見て、今度は自分の番だと熱湯に飛び込んだ王様は大きな泡に閉じ込められどこかに飛んでいってしまいました。(煮え死んじゃうわけじゃないのね)

人々はイワンを新しい王様に選びます。お妃となった雲姫は、運命を受け入れ死を覚悟していたポニーに、生死の花は自分を摘みに来た者を試すため、摘めば死ぬと嘘をついたのだと話しましたとさ。最後にこのオチって・・


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