2022年6月24日公開 142分 G
暴食のホムンクルス、グラトニー(内山信二)に飲み込まれてしまったエド(山田涼介)たちは、エドが思いついたある方法により脱出に成功する。そんな彼らの前に、エドとアルの父ホーエンハイム(内野聖陽)と全く同じ外見の謎の男(内野聖陽二役)が出現。「お父様」と呼ばれるその男は、兄弟がこれまで戦ってきたホムンクルスたちの生みの親だった。国家の秘密と「約束の日」、ホーエンハイムの過去など様々な謎と真実が解き明かされていく中、エドとアル、軍の暗部に立ち向かうマスタング(ディーン・フジオカ)、そして賢者の石を求めてやって来たシン国の皇子リン(渡邊圭祐)たちは、国家全体を揺るがす恐ろしい陰謀を阻止するべく戦いへと身を投じていく。(映画.comより)
荒川弘の漫画を実写映画化した「鋼の錬金術師」の続編となる完結編2部作の後編です。前2作を観ているのでやっぱり完結編も観なくちゃね。
前作でグラトニーに呑み込まれたエドたちは、エドが自分自身を外の世界に人体錬成する奇策で外に出ます。
アルは言いつけを破ったと怯えるグラトニーに「お父様」のところへ案内させますが、そこは大総統府地下で、グラトニーから吐き出されたエドたちと再会します。ホーエンハイムと同じ顔の「お父様」は、エドとアルがホーエンハイムの息子と知ると二人には危害を加えず、リンに「賢者の石」を埋め込みます。リンの中に「グリード」が侵入しますが、強靭な精神力で共存していくんですね。
この場では錬金術が使えず、駆けつけたスカーとメイの機転で逃げ出した4人は、スカーの兄が遺した文献を調べて、「お父様」が巨大な「賢者の石」の錬成陣となる「国土錬成陣」を完成させるため内乱や虐殺を起こしていたと知ります。「約束の日」とはこの「国土錬成陣」が完成する日のことだったのです。
「お父様」の野望を阻止すべく、エドは最後のポイントとなる北のブリッグズに行き、オリヴィエ少将(全く似てないけどアレックスの姉なんですね~~ しかも演じていたのが山本耕史だったとは
)に会いますが、先手を打たれて隣国との戦闘が始まります。指揮を解任されセントラルに呼び出されたオリヴィエ(栗山千明)は、マスタングから、大総統キング・ブラッドレイその人がホムンクルスで、軍の中枢部は既に「お父様」の手中にあると聞くと、ブラッドレイに取り入って幹部に昇進し機会を狙います。
師匠のイズミに聞いてホーエンハイムと再会したアルは、全ての発端となった真実を知ります。
(イズミは流産した我が子を人体錬成しようとして「真理の扉」を開き、代償に複数の内蔵を失っていました。扉を開いたことで彼女も「人柱」候補なんですね。)
数百年前、奴隷だったホーエンハイムが、彼の血により産まれた生物「フラスコの中の小人」と出会って名前を与えられ、知識を教わり身分を引き上げられましたが、クセルクセス王が不老不死を望み「小人」の言うがまま「国土錬成陣」を作り出したことで、100万の国民がその代償となって死亡してしまいます。錬成陣の中にいたホーエンハイムに「小人」は半分の賢者の石を分け与え、以来彼は死ぬことが出来ない体となっていました。
ホムンクルスのリーダーのプライドはブラッドレイの息子・セリム(寺田心)です。彼と対峙したエドはその圧倒的な強さを前に苦戦しますが、アルとホーエンハイムと協力してプライドを閉じ込めることに成功します。
「約束の日。マスタングのクーデターにより、セントラルに向かっていたブラッドレイの乗る列車が橋の上で爆破されます。オリヴィエも大総統府内を制圧しますが、生き延びたブラッドレイが現れ(ホムンクルスなんだから死ぬ筈ない)形勢逆転。フーとオリヴィエの部下バッカニアが命を呈してブラッドレイを阻止します。
マスタングが復讐心を露わにエンヴィーにとどめを刺そうとするのを、部下のリザ(漣仏美沙子)や、スカーまでが復讐は正義ではないと諫めます。エドから「人間に嫉妬している」と指摘されたエンヴィーは、これを屈辱と受け取り自死してしまいます。(エンヴィーの本体が超可愛かった)
そこへプライド(助けに来たグラトニーを捕食しちゃってました)とブラッドレイが現れて、マスタングが強制的に「真理の扉」を開かされて、その代償に視力を失います。
エドとアル、イズミ、ホーエンハイム、マスタングの5人を人柱として真の姿を現した「フラスコの中の小人」により「真理の扉」が開かれ「国土錬成陣」が起動します。「神」の力を手にした「小人」でしたが、ホーエンハイムが各地を放浪する中で自身の中の賢者の石を「国土錬成陣」の要所要所に配置していたため、日食の月輪により「賢者の石」の生成を阻止する錬成陣が起動し、「小人」は暴走を始めます。
スカーは兄の残した「裏国土錬成陣」をブラッドレイと戦いながらも完成させます。人間でありながらホムンクルスになっていたブラッドレイでしたが、最後はスカーに感謝しながら死んでいくんですね。不老不死なんてろくなもんじゃないことが伝わってきます。
復活した錬金術の力で、エドたちは総攻撃を仕掛けますが、エドの右腕が破壊され絶体絶命のピンチに。アルはエドを救うため自分自身を代償にエドの腕を人体錬成し、腕を取り戻したエドはリンと共に「小人」にとどめを刺しました。
「フラスコの中の小人」は「真理」により「真理の扉」の中に引きずり込まれていきました。彼に与えられたのは「絶望」なんですね。(この本体も『ハウルの動く城』のカルシファーみたいな少し愛嬌があるの)
エドは自分自身を「真理の扉」の前に送って、代償を求める「真理」に扉を指して「錬金術」の能力を代償とすると言うと、「真理」は「正解だ」と呟いてアルの肉体を錬成させました。
肉体を取り戻したアルや勝利を喜び合う皆の前から静かに姿を消したホーエンハイムは、エドとアルの母トリシャの墓の前で静かに息を引き取ります。数百年を生きてきたホーエンハイムとトリシャの出会いとか全くわからないんだけど、彼は死んでやっと安らぎを得たのね。
ウィンリィ(本田翼)のもとに戻ったエドでしたが再び旅に。出発直前、ウィンリィに告白するエドとそれに応えるウィンリィ。まさにハッピーエンドでした。
アニメをつまみ見したことはあるけれど原作漫画は未読で物語の細部は把握していないのですが、映画はそれなりに楽しめたかな。ただ、「フラスコの中の小人」があまりにも陳腐で、その本体を見た時は思わず吹き出しそうになりました。他が良かっただけになんでラスボスだけあんなに手抜きなんだろって