2021年9月3日公開 108分 G
京都・洛北医科大学で女性教授が転落死する事件が発生。科捜研のマリコ(沢口靖子)たちは早速鑑定を開始するが、殺人の決定的な証拠は見つからず、自殺として処理されそうになる。そんな矢先、国内外の各地で同様の転落死が相次ぎ、京都府警は再捜査に乗り出す。やがて、捜査線上にある人物が浮かび上がり……。(映画.comより)
テレ朝のドラマ「科捜研の女」の初となる劇場版でドラマシリーズから櫻井武晴が脚本、兼崎涼介が監督を務めています。
これまで数々の難事件を解明してきた京都府警科学捜査研究所(通称・科捜研)の面々が、現代科学では解けないトリックを操るシリーズ史上最強の敵に挑む姿が描かれます。所長兼文書研究員の日野和正(斉藤暁)、化学研究員の宇佐見裕也(風間トオル)、物理研究員の橋口呂太(渡部秀)、映像データ研究員の涌田亜美(山本ひかる)、土門刑事の内藤剛志らテレビ版でおなじみのメンバーが勢揃いし、敵役の天才科学者・加賀野亘役で佐々木蔵之介が参戦しています。そして相変わらずマリコの「我が道を行く」スタイルは不動です。
「科学は嘘をつかない」を信条とするマリコ。ある晩秋の日、老紳士(伊東四朗)に食事に誘われますが、解剖写真を見せられ怖気づいて立ち去ります。この何でも無さそうなエピソードが後の解決ヒントになっていました。
科捜研の元メンバーたち、サイバー犯罪対策課の吉崎泰乃(奥田恵梨華)、警務部巡査部長の木島修平(崎本大海)、カナダ・オタワの科学捜査センター赴任中の相馬涼(長田成哉)らも顔を出したりオンラインで会話したりしているようです・・とまあ一通りキャスト紹介があり・・
ある夜、洛北医科大学法医学教授で解剖医の風丘早月(若村麻由美)は「助けて。殺される」という声を聞きいた直後、ウイルス学研究室教授の石川礼子(片岡礼子)が転落する姿を目撃します。検死と司法解剖の結果、事件性はなく自殺の可能性が強まりますが、マリコは石川の腋の下のリンパのしこりが、早月も「助けて、殺される」という言葉が気になります。
石川が死ぬ前の行動を調べると、帝政大学の微生物学教授・加賀野亘(佐々木蔵之介)に会いに東京に行ったことがわかります。腸内細菌のダイエット菌の研究をしている加賀野は、双子の大学院生・森奈々枝(駒井蓮)と友希枝(水島麻理奈)を被験者に実験を行っていて、半年前は瓜二つだった二人でしたが、今や奈々枝は別人のように痩せていました。
石川は助教の秦美穂子(佐津川愛美)と京都医科歯科大学・生体防御研究室准教授の斎藤朗(増田広司)と訪れていたことから、確認をとろうとした土門は、同大解剖医で、マリコにぞっこんの佐沢真(野村宏伸)から逆にあれこれ尋ねられます。佐沢は狂言回し的役割ですね。
石川の血小板の数値が下がっていることに気付いたマリコは、臓器に異常がないのにとますます疑惑を深めます。そんな折、斎藤が土門たちの目の前で「助けて」と言い残して転落死します。
二人の死に関係性があると疑ったマリコは佐沢の協力で斎藤の血液検査をして、石川と同様の所見に気付きます。さらに二人が死ぬ前に頭痛を訴えていたこと、ウィルス学の専門家なことなどの共通点が見つかり、土門と共に刑事部部長の藤倉甚一警視正(金田明夫)に事件性を訴えます。
同じ頃、カナダ・トロント工科大学のスティーブ教授やロンドン(だったかな?)でも細菌学の教授が謎の転落死を遂げます。
彼らの衣服に乳酸菌が付着していたことから、土門はダイエット菌に何らかの危険性があり、それを指摘しようとして石川や斎藤が殺されたのではと考え、加賀野を聴取しようとしますが、彼はダイエット菌の無害を主張し、自分のアリバイを証明し、逆に警察から不当捜査を受けたとマスコミや警察協力受難者協会評議員の佐久間誠(田中健)に訴えます。
行き過ぎた捜査を警察庁刑事指導連絡室室長の倉橋拓也(渡辺いっけい)や主任監察官の芝美紀江警視(戸田菜穂)から厳重注意された土門。でもみ~~んな仲間みたいなもんだけどな~~(倉橋がマリコの元夫と知った土門が動揺するのがちょっとかわいかったな。)
乳酸菌の成分が保存液の成分に似ていると気付いたマリコは、父で科学鑑定監察所の監察官の榊伊知郎(小野武彦)に相談し、大型放射光施設「SPring-8」の技官・宮前守(山崎一)に分析を依頼します。元夫の倉橋にもスティーブ転落死の資料を送ってもらうよう頼みます。この強引さはまるでジャイアン そして元科捜研のメンバーが要所要所にいてマリコの助けになっているという何とも都合の良い展開です。
加賀野が出した和解条件のことを聞いた土門とマリコは、警察に圧力をかけてまで隠したい“何か”があると確信します。取り寄せた資料からスティーブが脳症を起こしていたことがわかり、ダイエット菌には免疫系が過剰反応して神経症状を引き起こす副作用があり、加賀野はそれを隠すために殺人を犯したのではと考えるマリコたち。奈々枝がダイエット菌をカプセルで服用していることに着目したマリコは、スティーブの論文を解析し、ダイエット菌の神経毒は胃酸により無害化するのではと推測します。しかし直接体内に取り込んだ場合は24時間で発症し、その後急激に神経症状が悪化する特性があり、犯人はそれを利用して被害者を高いところに呼び出したうえで異常行動で飛び降りるように仕向けたと見立てます。
そんな折、夜道でマリコは何者かに液体を顔に浴びせられ、翌日体調不良を訴えて科捜研を休みます。いやいや、ありえないでしょ その夜、何者かの電話で呼び出されたマリコは東福寺の境内で「助けて、誰か!」と言いながら通天橋から身を投げます。それを物陰から見ていた人物が逮捕され・・真犯人は加賀野に心酔する奈々枝でした。(SPring-8で判明したのは飲んだ振りをして隠し持っていたカプセルに付着していた彼女の唾液でした。)
マリコたちは犯人を欺き捕まえるために一芝居打っていたのね。論文からダイエット菌の毒性を打ち消す抗菌剤の存在を知っていたマリコは、事件直後にその抗菌剤を使って難を逃れていたわけです。映画撮影所スタッフの協力を得て下にマットを敷いたうえで飛び降りていたという。映画の予告ではこのシーンが紅葉の鮮やかな赤と共に印象的に使われていましたね。
奈々枝は逮捕直後にダイエット菌の毒性(長い間の服用により耐性が出来てしまった)により倒れますが、抗菌剤で一命をとりとめます。加賀野は真相を知り強い衝撃を受けますが、科学者の思い込みも厄介なもんだな~~
それにしても本当にダイエット菌なるものが存在し、無害であれば絶対売れるよね~~私も欲しい