杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

マーズ

2022年07月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2022年2月4日公開 イギリス=南アフリカ 104分 

近未来、人類は火星を開拓し、地球を捨てた移住者たちは各自の居住地「コロニー」を作って生活していた。ある日、辺境のコロニーに住む3人家族が何者かに襲われ、激しい戦闘の末に父レザ(ジョニー・リー・ミラー)が命を落とす。ジェリーと名乗った襲撃者は生き残った母イルザと幼い娘レミ(ブルックリン・プリンス)に、そのコロニーが元は自分の家族のものだったこと、そしてイルザ(ソフィア・ブテラ)とレミもここで暮らして良いと話す。しかしイルザはジェリーを撃とうとして逆に殺されてしまい、残されたレミはジェリーと2人で生きていくことに。月日が流れ、レミは美しい娘に成長するが……。(映画.comより)

 

火星で生き抜こうとする少女の戦いを描いたSFサバイバルアクションだそうだが・・・退屈

【レザ】【イルザ】【ジェリー】の3章構成なのはTVドラマみたい。

荒れ果てた荒野にポツンとある居住区とビニールハウス。豚が飼われています。空気も水もあるので、地球の開拓地と何ら変わらない風景です。

夜、星を眺めながら地球の動物の話を娘に語る父。平凡で平和な暮らしに見えますが、両親には何やら秘密があるらしいとわかるのは、侵入者の存在が示されてから。レミは家の外に出ることを禁じられますが、子豚が気になり世話をしようと外に出ます。その時、侵入者が現れ、応戦した両親が2人を倒しますが、残った1人を追いかけて行った父親は戻ってきませんでした。緊張の一夜が明け、居住区に足を負傷した男(イスマエル・クルス・コルドバ)が銃を持って侵入し、ここは両親のものだったこと、レザとイルザが両親に何をしたか知らないし気にしないが、自分はここを離れるつもりはないことを告げます。

父がこの男に殺されたと悟ったレミは母にここを出ようと訴えますが、行く当てもないイルザは男に反撃しようとして組み伏せられ、男からある取引を持ち掛けられ承諾します。それは30日一緒に暮らした後テーブルに銃を置いて外に出る、その時まだ信用できないならその銃で男を撃って良いというものでした。

レザと男の仲間たちを埋葬し、奇妙な三人の生活が始まります。武器を隠す男の様子をこっそり盗み見るレザ。男の持ち物の中にあった(おそらくはイルザに殺された)女性の似顔絵をレザは持ち去りますが、それに気づいた男は持っていて良いと言いました。

倉庫を片付けていたイルザが見つけたロボットにスティーブと名前を付けて遊ぶレザ。唯一の話相手であり友達でもあります。

イルザと、ジェリーと名乗った男の距離は少しずつ縮まっていきます。イルザたちの乗った宇宙船が撃墜され、遭難した二人を助けたのがジェリーの父でしたが、イルザの妊娠を知ると出ていくよう迫られ、お腹の子を守るために殺したと告白したイルザに、ジェリーは父は何故そんなことをしたのかと尋ねると、自分たちが地球から来たと悟ったからだろうと答えるイルザ。地球と火星は戦争していて敵だということ?説明がないので、さっぱりわからんぞ

母とジェリーが親し気に話す姿を見て衝撃を受けるレミ。約束の30日を前に二人がビニールハウスの中でキスするのを目撃し家を出たレミは、両親に禁じられていた境を超えて進んでいきますが、透明の壁に遮られます。コロニーは巨大なドームの中にあったと知り絶望の叫びをあげるレミでしたが、何かの入り口に気付きます。扉を開けて中に進みますが息苦しくなって倒れた彼女が目を覚ますと、自分のベッドにいました。

ジェリーはレミに外の世界は砂と岩だけでかつての都市は消え、戦争で全てが荒廃したと語りますが、レミは信じません。彼はまた、火星の大気は悪化しているが、この場所にいれば安全だと言います。ジェリーが酸素マスクを焼いたのは、ここから誰も出ない、出さないためのようです。

娘の行動に何かを感じ取ったイルザはレミに、お父さんを愛していたことと、レミが思う以上に彼女を愛していることを知って欲しいと語ります。約束の日が過ぎ、銃を置いて外にでたジェリーに銃を向け引き金を引いたイルザでしたが弾は入っていませんでした。ナイフを取ろうとキッチンに駆け込むイルザを追って入っていったジェリーはやがて一人出てきます。母の死を悟り泣きながら駆け出すレミを捕まえどうか自分を受け入れて欲しいと懇願するジェリー。イルザの墓の前に立つ二人・・・やがて時は流れ、美しく成長したレミ(ネル・タイガー・フリー)は、今日屠殺する豚を1頭選びジェリーから銃を受け取り発砲します。生きるための選択をレミもしてきたということですね。

とはいえ、レミとジェリーの間に流れる微妙な空気感はテーブルの両端に座って黙々と食事をするシーンで示されます。彼女の笑顔を引き出そうとするジェリーが哀れにも見えてしまいます。

ジェリーが水を溜めて作った窪地で沐浴し、差し出された酒を飲み、彼が描いたイルザの肖像画を受け取り思わず涙ぐむレミでしたが、抱き締められキスされると自室へ閉じこもります。ジェリーは紳士的に振舞い、無理強いはしないと言いながらも結局はソレかい!!

隠し持っていた酸素マスクをジェリーに見つかり諍いになる二人。「あなたは私をコントロールすることはできない、今回は人質になる者がいないのだから」と言った彼女にかっとなり、両手をベッドに縛り付けて無理やり身体を重ねようとするジェリーに、スティーブがレミを守ろうと攻撃します。拘束を解いたレミは「俺たちは互いに必要だ」と訴えるジェリーにライフルを向けます。

ジェリーに撃たれたスティーブの修理を終えると、レミはリュックに酸素ボンベを詰め込み、酸素マスクを手にスティーブに別れを告げてドームの外に通じるトンネルに向かいます。そしてついに外へ。そこには砂に覆われた大地が広がるばかりでした。

ジェリーはただ「実家」に戻ってきただけ。ただ、ここで暮らしていきたかっただけ。レミの両親も自分たちの居場所が欲しかっただけ。そして互いに憎むべき相手と暮らしていかざるをえなくなった時、男はそれを受け入れますが、女は拒絶する。結構シュールなお話でした。


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