明日の葉っぱ(8×8)=69

思いつくまま 気のむくまま書いてます。

岡本おさみ 歌コトバ ⑱ リンゴ よしだたくろう

2019-11-17 21:20:00 | 岡本おさみ歌コトバ
アルバム「元気です。」  は
曲目も多く
その
ほとばしる歌への情熱が
溢れかえってる
アルバムだ。

こと
このアルバムでは岡本おさみさんの作品が数多く差し込まれている。




ひとつのリンゴを 君がふたつに切る
ぼくの方が少し大きく切ってある
そして二人で仲良くかじる
こんなことはなかった 少し前までは
ひとつのりんご🍎を二人で分け合う
申し訳なさそうに僕の方が
すこし  「すこし」と注釈して強調して表現されてる
大きく切り分け与えられたりんご
仲良く食べる。
もう、終わった、ノーサイドなんだと…
60年、70年日米安保闘争に敗れた若者たちに日常が訪れた時
敗戦から27年後 外の戦争
内の戦争と
やっと諍い、争いごとが収まりつつある世の中に
こんな 何気ない暮らしの歌が飛び込んできた。

薄汚れた喫茶店の バネの壊れた椅子で
長い話に 相槌うって
そしていつも 右と左に別れて
薄汚れた喫茶店。
今ならオシャレな
「カフェ」という言い方に変わってしまった
70年代 は
喫茶店。
サ店なんだ。
バネの壊れた椅子なんてのもザラにあったもんだ。
長い話。
話好きな若者
明日への熱弁をたれる
そんな熱い人たち
くすぶりつづけながらまだ
生きていた。
相槌を打つことで
お互いの存在をかろうじて認めあう唯一の行為だったのだろう。



このリンゴは昨日 二人で買ったもの
ぼくの方がお金を出して
おつりは君がもらって

二人は同棲を始めたんだ。
男と女の関係になり始めた
闘争の時は
たしかに同士だったはずな二人。りんごを買うことすら
あるはずのない行動だったはず。


こんなことはなかった 少し前までは
コーヒーカップはいつだって 二つ運ばれてきて
向こうとこちらに ウエイトレスは
さりげなく カップをわけて
喫茶店にはりんごを買った帰りに寄ったのだろう。
あの頃のように
熱弁を振るう場所としての喫茶店。
でも今は違う…


ふたつめのリンゴの 皮を君が剥く
ぼくの方が巧く剥けるのを
君はよく知ってるけど
リンゴを強く齧る 甘い汁が唇をぬらす
左の頬を君は ぷくんとふくらませて
欲張って ほおばると
ほらほら 話せなくなっちまうだろう

なんて事のない
りんごをむいて
食べる仕草
りんごをむくことも僕の方が
うまくむけるのを君は知っていて
欲張っておどけて頬張って見せる
君のいじらしさが
癒させる事
戦いが終わった事
時代が変わり始めた事を
教えている。

果実が熟したら
美味しく食べられる
その至福の時をもてる。
しかし、
まだ時代やこの国は
成熟するまでには至らないもどかしさも
感じながら
美味しく色づいたりんごをみながら

りんごを強く齧ったのだろう。

その時
テレビのCMでは
こんなフレーズが流行ってたっけ…

りんごを齧ると
歯茎から
血が出ませんか?

血が流れるのは
もう歯茎からだけになっていたのだろう
世の中…

デンターライオン。

そして
井上陽水さんが盟友拓郎さんの
「りんご」をcoverした。

消して歌う事のなかった人が
この歌をcoverした井上陽水さん
なぜ
「りんご」だったのか?

それは73年に
「氷の世界」
という歌を歌っているから…

♪窓の外にはりんご売り
声を枯らしてりんご売り
きっと誰かがふざけて
りんご売りの真似をしているだけ
なんだろう…



岡本おさみさん
よしだたくろうさん
井上陽水さん

りんご🍎にまつわる
エトセトラ…





岡本おさみ 歌コトバ ⑯ 「からっ風のブルース」と「いつでも」吉田拓郎

2019-10-16 19:41:00 | 岡本おさみ歌コトバ
岡本おさみさんの
歌詞には
ドキッとされられる

タブー無しの問答無用で斬り込んでくるのだ。


岡本おさみさんの歌詞には免疫がないと
ドキッとする言葉がでてくる

あまりにも
無防備に聞いていると
「え? なんていった?」

そんな言葉…使うんだ…

これは聞いていて
恥ずかしいなぁ
と思えたり…

若い頃のアルバム73年にでた
「伽草子」の
一曲目に
「からっ風のブルース」という歌がある。






とても素敵だ君
暗闇を探そう
でなきりゃ
安いベットでキスして
遊ぼう
それから
アレも

からっ風が吹いてゆく
からっ風が吹いてゆく

冷えちゃ できない
男と女


一番の歌詞からいきなり
慌てふためいたあの頃の僕


とても素敵な君だから…
暗闇を探そうと…
で…ダメなら安いベットのある
ところで…
キスして
遊ぼう!

それから
アレも…

アレって
アレだよな…
多分
アレでしょ
うん!
アレだわ

そう自問自答しながら
次の瞬間
大音量で部屋でいい気になって
聞いていた
自分に
顔から火が出た。


なんて卑猥な歌を大音量で
聞いてるんだ俺は…

よしだたくろうって
ちょっと
開けっぴろげすぎないか?
何?
何?
作詞者
岡本おさみって?


その当時の印象だ……




それから時が経つこと



22年後




またやってくれました
岡本おさみさん

これは
生活、暮らしの歌コトバをかいている以上

必然なのかもしれないが
表現の仕方がストレートすぎて
逆にリアリティを感じれるんだけど…


狙って書いたのか
癖なのか
卑猥なコトバをそう感じさせない
世界観に
岡本おさみさんの
歌コトバの奥行きの深さを感じる。

「いつでも」

いつでも
どこでも
お前がいたのさ

だらけて はしゃいで
お前がいたのさ
まじめに生きてよ
お前は飛び出した
勝手にしなよ
酔っていたのさ


どうして俺の寝息聞いたのさ
やり直せないのに
濡れたりしたのさ
夜明けの舗道を
しょぼついた眼をして
夜明けの舗道
当てなく歩く


泣けてきたよ
空が青くて
泣けてきたよ
肩を抱いたら
今日は晴れさ
泣けてきたよ




大人の歌に変わった
岡本おさみさんの歌詞

若い頃の貪るような
エネルギーが

22年たった「いつでも」
という作品には

男と女の性
ザカ

襞の部分が描かれてる

やり直さないのに
濡れたりする

この表現。

心と体とは必ずしも
一致しないと
……
大人にしかわからない
その部分が見事に描かれてる。


青年期
壮年期の
男女のくっ付き
離れの恋

恋模様の方程式は
若い頃は割り切れたものが
歳を重ねていくにつれ
切れが悪くなる

なにもかも
切れが悪くなっていくようで…















岡本おさみ 歌コトバ ⑮ 君去りし後 吉田拓郎

2019-09-29 20:52:00 | 岡本おさみ歌コトバ
新六文銭でも演奏され
正式音源は
よしだたくろう Live'73
に収録。

つま恋'75でも瀬尾オーケストラをバックにLive73をベースに再現演奏された

何よりもいつも思うのだが
この「君去りし後」
のベストテイクって
何年でいつ頃のが
一番なんだろ?と思う

拓郎さんは
ずっとこの歌は好んでLiveで歌って
きている。

僕の勧める
ベストテイクは
82年のFM広島開局記念番組で放送された時の
広島でのコンサートのバージョン。
「王様たちのハイキング」ツアーの時の音源だ。




この頃の歌い方は
他を圧倒する
説き伏せる勢いのある
パワーあふれるボーカルと
力量あるバックメンバーたちに
支えられ

この歌の歌詞もシャウトするのに
もってこいの絶妙な歌コトバだった。






「君去りし後」の歌詞は
歌謡界、ブラウン管の向こうの
女性歌手に送る
ラブコールラブソングだ。


「好もしかざる女」だった君の
監禁された唄を聞いていると

監禁された唄…
この表現が軽いジャブなんだね。

酒さえもいらないと
思ったものさ
もう一度君が 僕の退屈さを
盗んでくれるなら
全ての女と縁を切ってもいい
そうさ君のいた頃の
この部屋の扉は
いつだって夜に向かって開かれて
マネキンさえ踊る
陽気なブルースを歌ってたよ

君が去った後は
君が去った後は
君が去った後は
てんで はっぴいに
なれないんだよ



酒さえもいらないほど酔える女
それだから
退屈してる僕をもっと虜にしておくれと…
女は君だけでいいというくらい
のめりこんでいたことに
気づく。
そして
君が去ってしまったことで
ハッピーになれないんだと…


手の届かないところへ行ってしまった君。

君へのラブコールは
ロックでシャウトする
フォークの拓郎から
ロック、R&Bシンガー
吉田拓郎へと
変貌した。

岡本おさみさんの歌詞が
当時は
拓郎さん本人が書いたのか
わからないくらい
同化していて
同じような考え、感覚
コトバ選びも
多分似ていたのだろうと思う。

G Em C D A E♭
と少ないコード進行で
淡々としたメロディだが
グイグイ引き寄せられる
説得力あるナンバーだ。


君が去った後は…
てんで
はっぴいに
なれないんだよ


happyでもなく
ハッピーでもなく

はっぴい

なんだ。

突き抜けるような
幸せ感ではなく
なんだか
足元にころがっている
小さな幸せ感とでもいうのだろうか?










岡本おさみ 歌コトバ ⑭ きみの朝 岸田智史

2019-09-23 10:27:00 | 岡本おさみ歌コトバ





ドラマの脚本どおり
売れていった
歌番組とのタイアップ
戦略の勝利とでもいうか……


いかに思惑どうり売れたか?
見事ととしか
言いようのない
戦略の勝利。

TBSのオバケ
歌番組
「ザ・ベストテン」
木曜 夜9時からの
定番の時間帯
そのあと10時からのドラマ
「愛と喝采と」に
出演した
岸田智史さん

新人歌手
武井吾郎役

音楽プロデューサーに
十朱幸代さん

実際
「ザ・ベストテン」の
スポットライトに登場して
その後この映像を
ドラマに流すといった
タイアップ

ヒット曲の作り方の一つ

単なるドラマの主題歌とは
違った
打ち出し方
だった。

無名なシンガーを役者にも起用して
売り出す。
作曲は本人
岸田智史さん

今 現在
名前を
敏志 と変えています。



この
岡本おさみさんの歌詞も
少しゴツゴツした
よく読めば
岡本おさみ節が随所にある。


岡本おさみワールドは
コーヒー
とか
喫茶店
とか
夕暮れ、朝、
とか
暮らし
とか
魂、体
なんて
コトバ、ワードが
散りばめられている。


この歌コトバは
拓郎でもなく
こうせつでもなく
まさしく
岸田智史
へ宛てた
歌詞なのだと
落ち着く。

彼の懐に入って

サビの
モーニング モーニング
きみの朝だよ
モーニング モーニング
きみの朝だよ
優しく歌う仕上がりに
70年代決別のレクイエムを感じる。


♪別れようとする魂と
出会おうとすると魂と
あゝ心より身体の方が
確かめられるというのか…


生まれようとすると魂と
老いぼれてゆく魂と
あゝ人間のはしくれに
生まれてきたというのに

変わろうとすると魂と
よどんでしまう魂と
あゝ身体中輝きながら
旅立ってゆけ  朝に…



苦悩するひとの
内在するもの

解き放つのは
きみとの朝

きみと迎える朝
なのだろうか?

問い、
迷い
答えを求めて
渇望する
魂の歌

フォークソングから
ニューミュージックのジャンルへの
入り口は
80年代の扉を開くように
歌番組の中に
組み込まれた
歌のひとつ
になっていた。


岡本おさみの歌コトバは

時代を撃ってきた。

激しい世を横にらみしながら
その中に身を置く
男女の暮らしを
歌コトバにして

時代を背負ったつもりはなくても
流行歌のひとつになっていった
その歌の歌詞は
時代と寄り添い
彩りを添えてきた

もはやその燃えかすのような
決別的な歌詞のようにも
思える
「きみの朝」


そして
岡本おさみさんの80年代からの
作品は丸くなっていった
そんな気がしてならない。

エッジの効いたコトバは
少なくなり
鋭い刃先がまるまってしまった。



「きみの朝」

作詞  岡本おさみ
作曲 岸田智史


横たわる君の顔に
朝の光が射している
過去の重さを洗おうとして
たどりついた深い眠りよ

別れようとする魂と
出会おうとする魂と
あゝ心より身体の方が
確かめられるというのか

モーニング モーニング
きみの朝だよ
モーニング モーニング
きみの朝だよ


急ぎ足 ふと 止めて
ふりかえれば夕焼けが
この先 いくら生きてゆくのか
こんな暮らし 仮の姿

生まれようとする魂と
老いぼれてゆく魂と
あゝ人間のはしくれに
生まれてきたというのに


モーニング モーニング
きみの朝だよ
モーニング モーニング
きみの朝だよ


群衆を飲み込んだ
都会の悲しみの渦の中
コーヒー一杯分のやさしさを
そそぎこむ僕の唄よ

変わろうとする魂と
よどんでしまう魂と
あゝ身体中輝きながら
旅立ってゆけ 朝に

モーニング モーニング
きみの朝だよ
モーニング モーニング
きみの朝だよ







岡本おさみ 歌コトバ ⑬ アジアの片隅で 吉田拓郎

2019-09-22 14:12:00 | 岡本おさみ歌コトバ
1980年 11月5日 に発売された
スタジオアルバム


11枚目となる
「アジアの片隅で」

しばらく遠ざかっていた
岡本おさみさんとの
久々の競作。

レゲエのリズムが
この歌の重さをさらに加重させる。


アジアの片隅で…


我が国 日本の立ち位置
世界の中の日本

アジアの片隅にある
島国
日本。

折しもいい話も
良くない話も
飛び交う毎日

対韓国との摩擦
北朝鮮との拉致、ミサイル
核兵器等との問題
沖縄普天間辺野古の問題
アメリカとの貿易摩擦

中国との海洋進出摩擦

数えればきりがない
問題を問題視する

次から次へと
飛び交う気が重くなる
政治的ことも含めて

このアジアの片隅で
いろんなことが起こっている
そして
また、中東でも
キナ臭い問題が…
常に火種をかかえ
裏で戦争屋が暗躍するそんな
まことしやかな
話が、流れたり

ラグビーワールドカップ
開催国 日本。

日本のおもてなし文化に
感動をもらったり

このアジアの片隅で…





80年代に入った日本にも
そうした
世の中の流れの中に危惧する
思いを
岡本さんは
強烈な言葉を
コトバのグローブの
オンスを下げて
本気で殴りに来た。

少し平和ボケしてる
ぼくたちに…

右の頬へ
強烈な右ストレートを放った。


安穏としたラブソングに
あぐらをかき
優しさの世代を謳歌しかかっていた
その矢先、

ちょっと待った!
かかった形だ。


今更また、
闘争への道に
逆戻りなのか?

いやいや
少し待ってくれ、
日本はこれでいいの?
一国だけ平和を謳歌し
突き進んでいいわけ?

同じアジアにも
目を向けたら
目を背けないで…

他人事、無関心に
火をつけた

火種は
岡本おさみ

聴いてて
耳の痛いその
重たい
歌コトバで
ある。
アジアの片隅で
作詞  岡本おさみ
作曲 吉田拓郎



一晩たてば
政治家の首がすげかわり
子分どもは
慌てふためくだろう
闇で動いた金を
新聞は書き立てるだろう


ひと晩たてば
国境を戦火が燃えつくし
子供達を飢えが襲うだろう
剥き出しの肋骨は
戦争を憎み続けるだろう

アジアの片隅で
狂い酒飲みほせば
アジアの片隅でこのまま
ずっと生きてゆくのかと
思うのだが……


ひと晩たてば
街並みは汚れ続けるだろう
車は人をひきつづけるだろう
退屈な仕事は野生の魂を
老けさせるだろう


ひと晩たてば
チャンピオンはリングに転がり
セールスマンは道路に
座り込むだろう
年寄りと放浪者は
乾杯の朝を迎えないだろう


アジアの片隅で
狂い酒飲みほせば
アジアの片隅でこのままずっと
生きてゆくのかと
思うのだが…


ひと晩たてば
秘密の恋が暴かれて
女たちは
噂の鳥を放つだろう
古いアパートの部屋で
幸せな恋も
実るだろう

ひと晩たてば
頭に彫った誓いが
崩れ落ちて
暮らしの荒野が待ち受けるだろう
甘ったれた子供たちは
権利ばかり主張するだろう
アジアの片隅で
狂い酒飲みほせば
アジアの片隅でこのままずっと
生きてゆくのかと
思うのだが…


ひと晩たてば
働いて働きづくめの男が
借りた金に
滅ぼされるだろう
それでも男は
政治などあてにしないだろう

ひと晩たてば
女まがいの歌が溢れ出して
優しさが叩き売られるだろう
悩む者と飢えたものは
両手で耳をふさぐだろう


アジアの片隅で
お前も俺も
このままずっと

アジアの片隅で
このままずっと
生きてゆくのかと

アジアの片隅で
アジアの片隅で
アジアの片隅で
お前も俺も…

アジアの片隅で…