元部下の訃報が届く

去年の夏過ぎ
お見舞いに足を運んだばかり
だったのに…
僕より若く
まだこれからの人生だったのに
真面目で仕事に真っ直ぐな
奴だった。
今時礼儀正しかったやつだった。
原因不明の痛みで入院し、
一命を取り留めてから
癌であることがわかり
それでも
入退院を繰り返しながら
壊れそうな
気持ちをかろうじて
立て直しながら
精一杯
昔のような笑顔でお見舞いの
時迎えてくれた
あいつ。
明日は
通夜。
前の会社で一緒だった部下。
袂を分けた
関係だったが
彼はその後病魔に侵され
病との闘いの日々に追われ
やむなく会社を自主退職した。
悔やまれただろう
悔しかっただろう
辛かっただろう
思うようにゆかない人生って
どこでどういう風に
流れが変わっていくのか
この命
命の灯火は
人それぞれ
灯しかたは
違えど…
その長さと
その強さも
違えど
いのちの理由は
みんな同じだと
思いたい
誰もが
幸せになるために
この命が
あり、
生まれた訳は
生きることを実感するため
ほんの少しでも
一ミリでも
幸せだったと
言えて終われる
人生。
いのちの終わりを
誰もが
持てたなら…
今日
亡くなった
あいつの心に
寄せて…
