白糸をまっすぐに落とした
か細い
君の絹の声
何か言いたげに
聞こえないフリで
逃げる夏を
追いかけて…
長い海岸線
岬の突端まで
二人乗りのバイク
無口な夏が
放射熱を知らせる
カーブを攻めると
無重力の中で
泳ぐ君。
遠回りの
タイムロスに
二人の目的地は
眩しさの先。
夢にまで見た
二人の海岸
土用波に
後退り
波の音だけでいい
話さなくていい
夕陽の時間まででいい
ただ、じっと
波の歌だけ聴いている。
大人になる事と
物わかりのよくなる事は
生き方を邪魔するから
気持ちを浮かべて
愛おしさで
弾かれたコトバも
取り留めのない瞬間を
きっと待っている。
巡らせて
巡り来る
次の想いを
波間に乗せて…