明日の葉っぱ(8×8)=69

思いつくまま 気のむくまま書いてます。

夕焼けのむこう側

2020-05-29 13:13:00 | 散文 詩 

この国がまだ

少し豊かになりかけた頃

まだ 一家に一台の

車も持てなくて

バスやバイクや自転車や

電車の移動が主だった。


貧しいとか

裕福とか

も気にならなくて

誰もが一生懸命に生きた時代


西の空を夕焼けが染める頃

なぁんにもない空は

オレンジ色と

焦げ茶色の山の稜線だけが

1日の終わりを見せてくれていた。


2人乗りのスーパーカブの後ろに

僕は乗せられて

買ったばかりのバイクで

試運転ドライブ

オヤジの肩越しにみる

オレンジの夕焼け空は

映画館で見たスクリーンのよう



夕焼けへ吸い込まれるように

先へ

先へ

スーパーカブは進む


先を急ぐ理由もないのに

何も話さず

バイクは家路へ急ぐ


夕焼けのむこう側は

今も変わらずに







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