日々是好舌

青柳新太郎のブログです。
人生を大いに楽しむために言いたい放題、書きたい放題!!
読者のコメント歓迎いたします。

莢蒾を 漢字で書くと こうなるの

2013年10月17日 16時24分59秒 | 日記
 秋も深まるころに陽当たりのよい尾根道などを歩いていて、ガマズミの実が真っ赤に熟れていたりすると思わずにんまり北叟笑んでしまう。早速採って口に運ぶのであるが、甘酸っぱさが口いっぱいに広がって咽喉の渇きも癒すのである。

 ガマズミはスイカズラ科の落葉低木で樹高はせいぜい3メートルくらいといったところである。初夏に咲く花は白くて派手さはないが香りがよい。紅葉が美しく結実しやすいことから庭木に植えられることも多い。私はかつて山野草や雑木盆栽などを三〇〇鉢ほど育てていたが、その中にはガマズミの盆栽も数鉢あった。ガマズミは枝が徒長しやすく形を整えるのが難しい樹種であった。

 ガマズミは地方によってヨツズミ、ヨソゾメ、ヨウゾメ、ソゾミ、ゾメ、ヘミキ、ムシカリ、ズミなど様々な呼び名がある。名前の由来でゾメというのは、昔はガマズミの実を赤色の染料に用いたことから、染(そめ)がゾメとなり、ズミに転訛したというのである。勿論これにも異説があって東北地方で熊狩りなどを生業としていたマタギが山の神からの授かりもの「神ツ実」として珍重したからだという説もある。

 考古学の研究成果として、ガマズミの種がたくさん入った縄文時代の土器が発見されている。このことから縄文人は土器にガマズミの実を詰めて自然発酵させ、酒を醸していたのであろうと推測されている、

 ルビー色に熟れたガマズミの実は、そのまま食べても野趣を楽しめるが、たくさん採れた場合にはホワイトリカーとグラニュー糖で漬けて薬用酒にすることをお奨めする。ガマズミの実にはクエン酸、没食子酸(もっしょくしさん、またはぼっしょくしさん。芳香族カルボン酸)、ブドウ糖、果糖を多く含み、滋養強壮、利尿、美容などに効能があるとされている。酒が苦手だという方にはジャムやジュースにするのも良いかもしれない。

 東北地方では大根の漬物をガマズミで赤く染める習慣があると聞く。種を取り除いたガマズミの実を懐石の箸洗いに二粒ばかり入れるということも聞いたことがある。箸洗いの汁は昆布出汁の薄い塩味だから山のガマズミの実とよく調和して、炉辺の茶事に一層の風趣を添えるというのである。恥ずかしながら私はお茶の作法をまったく心得ない。

◆ ガマズミ熟れてルビーの輝き  白兎