2009年1月25日(日曜日)
今朝、新聞をひろげたら、
県版トップに写真入りの大きな記事が
目に飛び込んできました。
今日は、中池見湿地で
鳥類調査(モニタリングサイト1000)も
行われているはず・・・
澄み切った中池見の空を、ゆうゆうと飛び回る
鳥たちも、中池見を見守り続けるクモクモ仙人さんの
あたたかな心をけっして忘れないでしょう。
http://mytown.asahi.com/fukui/news.php?k_id=19000000901250002
【中池見湿地への情熱が本に】(朝日新聞)
多くの動植物が生息する中池見湿地(敦賀市樫曲)の
保全に情熱を注ぎ、07年12月に67歳で亡くなった
神奈川県大和市の著述業、斎藤慎一郎さんの
遺稿「奇跡の泥炭湿原 中池見湿地」が、このほど出版された。
開発の危機から同湿地を救った市民運動の経緯や
湿地の地下に眠る泥炭層の貴重さを、読む人に
飄々(ひょう・ひょう)と語りかける。
人柄をしのばせる文体に中池見への愛情が込められている。
斎藤さんは家族の都合で95~98年、福井市内に住んだ。
その間に中池見湿地を知り、通い始めた。
在野のクモの研究家で「クモクモ仙人」を自称。
その名がぴったりの風姿と、作曲もこなす多才さで、
多くの人たちに親しまれた。
中池見でもクモの生態を研究し、スケッチも残した。
07年9月、末期の胃がんであることがわかった。
自宅で闘病しながら、同11月19日から
12月4日までの短い間に、
200字詰め原稿用紙約300枚分を書き上げ、
数日後に息を引き取った。
その後、妻の好子さん(60)が補足を加えるなどして
完成させ、一周忌に合わせて発刊した。
A5判、184ページ。
前半では同湿地の生物の多様さのほか、
大阪ガスの液化天然ガス(LNG)備蓄基地建設計画が
持ち上がった92年から同社が計画を中止して
湿地を含む用地を市に寄付する05年までの
市民運動の取り組みを紹介してある。
中盤には99年5月、深さ約40メートルの泥炭層を持つ
同湿地の貴重さを世界に訴えるため、
コスタリカで開かれた国際会議「地球生物多様性フォーラム」に
参加した際の活動が描かれている。
海外の科学者の強い関心を呼びおこすことに成功し、
同湿地の保全を訴える国際声明を出してもらうことができた。
斎藤さんは亡くなる直前、知人へ送った手紙で
「愛する中池見はぼくの後半生の希望でした。
そして最後の土壇場でベストを尽くしました」
「中池見の本を書ききったことで、
精魂は尽きはてました」などと語っている。
好子さんは「たくさんの人に中池見の素晴らしさを
知ってもらうのに一役買えたらうれしい」。
写真提供などで協力した敦賀市の
NPO「ウエットランド中池見」の笹木智恵子理事長は
「コスタリカの会議に参加してくれたおかげで、
中池見が世界で脚光を浴びることができた。
この本は彼の遺言です」としのぶ。
斎藤さんが亡くなる1カ月ほど前、
湿地で新たなわき水が見つかり、
後に「クモクモ仙人の泉」と名付けられた。
本についての問い合わせは
同NPO(0770・23・5003)へ。
故・斎藤慎一郎さん
出版された斎藤慎一郎さんの
遺稿「奇跡の泥炭湿原 中池見湿地」。
クモのスケッチも掲載してある