2010年5月12日(水曜日)
NHKのクローズアップ現代で、もんじゅが取り上げられていた。
「検証 もんじゅ運転再開」
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2887
ナトリウム漏れ事故を起こし運転を停止していた
高速増殖炉「もんじゅ」。
その14年5か月ぶりの運転再開に世界の注目が集まっている。
かつて、技術的な困難さや高コストなどを理由に
世界の多くの国が開発から撤退した高速増殖炉だが、
エネルギー資源の争奪戦が激化する中、
ウランを有効利用でき放射性廃棄物の削減にもつながるとして、
再び関心が高まっているのだ。
一方で、その開発の中核を担う「もんじゅ」は、
世界にも類をみない長期間の運転停止からの再稼働となる。
安全性の確保は?事故映像隠しなどで批判を浴びた
組織体質の改善は?
「もんじゅ」の内部映像とともに、
最新の技術開発の現場にも密着、
今後の高速増殖炉開発の行方を検証する。
「連絡三原則」を指差しながら全員で読み上げている姿が
映し出されていた。
毎日、これをやっていながら、
なぜ?と思った市民も多いことだろう。
毎年、200億円もの巨費をつぎ込んでの研究開発にも
疑問符がつく。
世界中で原発建設がラッシュになり、
ウランが高騰しているから、
サイクルできる高速増殖炉が必要という説明も
むなしく聞こえる。
世界から核をなくそうと宣言しながら
プルトニウム濃縮用の原子炉であるもんじゅの運転再開・・・
不安がつきまとうもんじゅで、あらたな問題もおきている。
10日に起きた制御棒の操作ミスである。
【朝日】
http://mytown.asahi.com/fukui/news.php?k_id=19000001005120005
もんじゅ操作ミス 「継承」課題置き去り
14年5カ月ぶりに再起動した
高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市白木2丁目)で起きた
制御棒の操作ミスは、事業主体の原子力研究開発機構が抱える
問題を浮き彫りにした。
1995年12月のナトリウム漏れ事故から続く、
長期の運転停止。
実地の操作経験がない運転員が8割を占め、
現場の技術やノウハウの継承が以前から課題とされていた。
◇ ◇
機構によると、10日に予定された試験を終える際、
運転員が原子炉内に制御棒2本を入れる操作をしたが、
「微調整棒」と呼ばれる制御棒1本が午後8時50分ごろ、
予定の3ミリ手前で止まり、完全に挿入されなかったという。
保守担当課員が制御棒などに異常がないことを確認。
操作を再開し、一時停止から1時間48分後、挿入を終えた。
もんじゅの炉心部にある制御棒は計19本。
「微調整棒」(3本)、「粗調整棒」(10本)、
「後備炉停止棒」(6本)の3種類があり、
「粗調整棒」と「後備炉停止棒」は一定速度で動くが、
「微調整棒」は動く速度が毎分3~30センチと幅がある。
微調整棒は完全に挿入される4ミリ手前から
作動速度が遅くなるため、運転員は本来、
最後にスイッチを長時間押さなければならなかった。
担当の運転員は、もんじゅで
「微調整棒」を操作するのは初めてだった。
機構によると、運転員は1班8人体制で計5班。
40人の運転員のうち、事故の以前に
運転の経験があるのは8人だけ。
32人は運転を再開した6日以降に、
初めて制御棒を操作している。
再起動まで運転員は、初臨界前の91年に
「もんじゅ総合管理棟」に設けられた
模擬運転操作機(シミュレーター)を使った。
今年3~4月、各班1回の訓練と試験内容の座学をしたという。
11日朝に敦賀市役所で記者会見した原子力機構は、
運転員が未熟だったことと、操作方法をまとめた
試験要領書に長押しの操作が不記載だったことが原因と説明した。
運転員らが使っていたシミュレーターは、
微調整棒の速度変化が再現されてなかった。
運転員が制御棒の速度が変わることを把握しておらず、
試験要領書にも記載がなかったことについて、
もんじゅの向和夫所長は会見の中で
「全運転員を対象に再教育して、周知徹底を図りたい」
と陳謝した。
もんじゅ技術部が作成した試験要領書を10日付で改訂し、
微調整棒を完全に挿入する際は最終段階で
スイッチを長く押すことを追記したという。
機構は今回の操作ミスを組織的な対策が必要な
「不適合管理」事案として扱い、改善を図るという。
一方、もんじゅを規制する原子力安全・保安院の
遠藤英昭・敦賀原子力保安検査官事務所長は11日朝、
もんじゅの弟子丸剛英技術部長に対し、
「制御棒の操作など基本動作をしっかりするように」
と口頭で注意。
シミュレーターの訓練実績や運転員の
力量を再確認する方針を示した。