まるで泣き叫んでいるかのような声で、
タミヨさんから電話があった。
「今すぐ来て! はよ来て!」
「どしたんな?」
「米に虫がわいた!」
山奥のお百姓の家に、生まれたというのに
タミヨさんは、虫が大嫌いなのだ。
「米が全部、つながるやつや!」
「ウジみたいなのが、ほうとる!」
「気持悪て、近づけん!」
と、一方的に喚き散らす・・・
あ~・・・きっと、ノシメマダラという蛾の幼虫だな・・・
タミヨさん家に駆けつけると
一斗缶のまわりに、幼虫がクネクネとはい回っている。
3分の1ほど残っていた玄米が、全滅状態になっていた。
白米より玄米の方に、虫はつきやすい。
まるで茶色のビーズをつなげたように、米がくっついている。
一間以上も離れたところから、
「はよ、全部なんとかして!」
と、相変わらず金切り声で叫ぶタミヨさん・・・
「うちが、おらんかったらどうするん?」
「健ちゃんに頼む!」
「あんなぁ、健ちゃんんも虫、苦手やで」
「え~・・・情けないな・・・」
って、人のこと言えるんか!
「あんなぁ、わたし、ミミズもさわったことないんやで」
って、自慢してどないすんねん!
「ようあんな、気持ち悪いもん、さわれるな・・・」
って、さわらすのは、あんたやろ!
ほんま・・・疲れるお人や・・・タミヨさんは・・・
米の虫より、タミヨさんに虫唾が走った? はるみでおます・・・