9月27日(水)に愛知県名古屋市の「名古屋マリオットアソシアホテル」で行われた将棋の王座戦五番勝負の第3局は、挑戦者の藤井聡太七冠が81手で土壇場の逆転勝利を収め、将棋界の八大タイトル独占へ王手をかけました。
戦型は、予想された範囲内の雁木。しかし、永瀬拓矢王座は序盤で9筋の位を取るなど、最初から主導権を握ります。終盤に入っても、全くスキのない手順を重ねて、藤井聡太七冠を追い詰めていきます。ほぼ永瀬王座の勝勢となっていた形勢が、61手目の☖4一飛車で一変いたします。ここを、常識的に☖3一歩と受けていれば、永瀬王座の快勝となっていたと思います。しかし、これが人間同士の将棋であり、1つの思い違いや見落としが勝敗の分かれ目になってしまう。このあとは、1手の迷いもミスもなく、藤井聡太七冠が勝ち切ってしまいました。
それにしても、この五番勝負はどう見ても、将棋の内容的には永瀬拓矢王座の方が良い。快勝した1局目はもちろん、惜敗の2局目、逆転負けの3局目ともに、主導権は永瀬王座が握っていました。対藤井聡太七冠との闘い方の「定石」を掴んでいて、この大舞台で惜しみなくその「定石」を披露してる気がいたします。
一方の藤井聡太七冠も、戦術面では永瀬王座に圧倒されながら、持ち前の終盤力で、これを引っくり返して見せる鮮やかさ。いや、凄みと言った方が良いでしょう。
次は、いよいよ歴史的な「八冠独占」をかけた対局になりますが、上記のとおり、将棋の内容では圧倒的に永瀬王座が上回っていますので、まだまだ勝負の行方は判りません。第4局は、10月11日(水)に京都府京都市「ウェスティン都ホテル京都」で行われます。将棋界の歴史に残る大一番となりますので、注目いたしましょう!