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映画、読書などのメモ

窯焚 KAMATAKI

2017-08-11 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★窯焚 KAMATAKI
監督:クロード・ガニオン
出演:マット・スマイリー、藤竜也、藤竜也、リーソル・ウィルカーソン、他
2005/日本

信楽のぼり釜の炎が全ての映画である。なるほど、このように「窯焚」が行われるのかと、初心者にとっては、かなりの入門編である。「熱いだろうな」と想像するが、映画本編からは、その「熱さ」があまり伝わらない。むしろ信楽焼の自然釉の妙にぼやけたような曖昧もことした雰囲気だけが強調されていた。禅問答のような、どこかタイミングをわざとはずしたような、焦点さだまらない物語。


主人公の若者が何故、精神的な病気になったのかわからなければ、自殺のリアリティが浮かんでこない。陶芸家の自由奔放な生き方はわかったが、何故二人の女性が一緒に生活しているのか、彼らの性生活がめちゃくちゃで(R-18)、若者が嫌悪感を持つことのほうが正常であると思った。しかししだいに、若者も、信楽の「窯焚」を手伝いながら、彼らの生活にすっぽり溶け込んでいく。自然も人間も全て一体化していく。藤竜也さんがここでも存在感を発揮していたが、かれの姿は演技なのか、普段の藤さんなのかよくわからないくらい自然である。この映画が海外で受ける訳がわかるような気もする。

炎が理性を溶かしていくようだ。ラストの場面で、若者の笑顔が周りの日本人の表情と非常によく似ていた。はじめは外国人の表情だったのに。異邦人としての迷いながらも理性を持った表情だったのに。エンドロールでは釣り人になった。東洋精神世界に悠然とどっぽりつかったらしい。





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