本を読んだ。
★人はなぜ〈上京〉するのか
著者:難波 功士
出版社: 日本経済新聞出版社
赤い帯の言葉は、
「東京は本当に幸せな選択肢?」
かってはヒエラルキーを上がるには、東京へ行くしかなかった。
では、いまは?
《姿三四郎》の上京青雲編から、現在の上京定住の頓挫編へと、近代現代の《上京史》から日本文化の足跡を辿るもの。小説家、画家、ミュジシャン、果ては自称文化人、ギョウカイんジンなど、地方から《花の東京》への進出もんの夢が、それぞれ時代背景を説明しながら語られています。サブカルチャー的要素溢れる読み物。
東京については殆ど知らなので、面白い指摘があって、なるほどね、と思う所もちらほら。僕の大好きな国木田独歩の書いた《武蔵野》は今でいうなら新宿辺りらしい。その後、この東京西地域は西日本上京組の定住地域として開発が進み、爆発的な人口増地域となる。そして《新宿や渋谷辺り》は《西日本出身者の東京憧れ組もしくは一旗上げたい組》の拠点となるという。それに対して、東日本出身者が上京したらまず足を踏み出す《上野》、そして人々が集う《浅草》が語られている。そのくだり興味深く《なるほど》である。
今後も《東京の肥大化》は進むんだろうが、それとともに《地方の散々たる姿》を心配する。地方に分散されたものは、ショッピングモールと原子力発電所の悪夢。そして地方には公務員しか仕事が無い、コンビニしか店がない、パチンコかスロットしかレジャーがない、、、という悪夢。これは将来の暗い話である。最後は少々嘆き節で終わっている。
せめて《東京のバックアプ都市計画を》と首都機能の関西移転を訴えるところは、関西知識人特有のちょっと斜めの余裕ある目線を感じ、京都を選択し此処に住み《上京者》ではなかった者としては、妙に共感しうるところでした。