どぶろくとマッコリ
知り合いの医師や大学教授の中で、韓国に学会や講演の依頼で招かれた人たちの話題で暫し聞かれるのが、強烈な酒席の歓迎に関するものです。勿論 下戸の人には無縁の話ですが、日本で少しは‘生ける口’と自負していた方々も、韓国の爆弾酒攻撃には、大方 記憶を失いながら、ホテルへ帰還となるようです。勿論このような酒文化?が、自慢できるものではないかも知れませんが、体験者たちの話しぶりからは、二日酔いに悩ませられながらも、どこか満更でもない濃厚な思い出として残るようです。私自身 若いころ韓国での留学時代の酒に関する‘愚勇伝’は、今でも当時の友人たちとの絆の一つと考えています。
ところで民族的に‘酒を好む’ということが、‘酒に強い’ことと関係しているのでしょうか。アルコールは体内で、アセトアルドヒドという成分に分解されるのですが、この成分が 悪酔い物質と言われるものです。この物質を分解できる酵素(ALDH2)の働きの良い悪いがお酒の強さを決めることになり、これは遺伝子により決められています。この酵素の働きが弱い人の割合は、日本人では42%で、韓国人の場合は28%です。この結果だけ見ると、韓国人の酒好きは裏付けられることになりますが、ヨーロッパ人やアフリカ人はほぼ0%で、むしろ中国人も含めて モンゴロイド系のみが、この酒に弱い遺伝子を持っているという事です。どうやら韓国人酒豪説も東アジアの中だけの話のようです。そして 韓国酒文化の強い印象は、やや過剰ともいえるサービス精神や、酒席での賑やかなパフォーマンスの為かも知れません。
‘飲みニケーション’では定評がある韓国社会ですが、最近 日本でも静かなブームになっているマッコリなどの韓国伝統酒の紹介や、酒席での韓国ならではの礼儀など、本来の民族的文化としてのお酒の交流がより広がってくれたらと願います。