一人の韓流スターの訃報に触れて・・
韓流ブームのきっかけともなったドラマ「冬のソナタ」で誠実な青年役を演じ、主演のヨン様ことぺ・ヨンジュンさんに劣らず、多くの女性の心を掴んだ俳優・歌手であるパク・ヨンハさんの自殺の報道は、韓国では勿論、日本でも多くのファンに驚きとともに、衝撃を与えました。安部元総理夫人も彼のファンであったと、伝えらましたが、私の周囲にも知人の奥さんと娘さんが熱烈なファンで、彼の出演したドラマは全てDVDで集め、日本で公演があれば駆けつける程であると聞いたことがあります。私は、正直なところ、彼のドラマや歌に関して、あまり詳しくありませんが、これからという才能豊かな若者が、自ら命を絶ったということ、痛ましくも残念でなりません。
韓国でここ数年、著名な芸能人の自殺が続いて起きています。この背景には、韓国芸能界が特に流行の盛衰が激しいこと、またネット社会で、その評判や批判に誰もが敏感に為らざるえないこと、うつ病などの精神疾患に対する認識不足の為、特に有名人は、噂を恐れて病院に行くことが憚れるなどの理由が挙げられています。しかし、自殺の問題は、社会的に、もっと広く、根深い問題として、国を挙げて取り組んでいかなければならない物かも知れません。実は、国別の自殺率(人口10万人あたりの自殺者数 WHO,2008年)では、日本は世界4位、韓国は8位と、共に自殺大国であるのです。韓日の両国を除いた上位国は、ベラルーシ、リトアニア、ロシアなど全て旧ソ連・旧共産国圏の国であり、男性に圧倒的に多く、社会政情の急激な変化が影響していることが考えられます。では日本や韓国で自殺率が高い理由は何でしょうか。日本ではバブルの崩壊、韓国では通貨危機の直後から、自殺率が急増していることから、経済的な問題が、最も大きなストレスとなったことを示唆しています。両国共に、高度成長を成し遂げ、仕事や経済的な活動が人生においての価値観で大きな比重を占めるようになったのでしょう。
米国病気予防センターの研究で、ある遺伝子が、自殺衝動を引き起こすことに関連しているとの報告をしました。しかし、何でも遺伝子に結びつけることには抵抗があります。死は誰にでも平等で、必ず訪れ、避けられません。それだけに、その瞬間まで精一杯生きることが私たちができる唯一のことではないかと思います。