幸せの経済学というもの
「お金は幸福の必要条件である。」とは多くの人が感じることです。しかし一方「本当の幸せはお金では買えない。」ということも同時に思います。漠然と考えている経済状況と幸福感の関係を客観的に分析し、経済政策に反映させようというが研究があります。所謂 ‘幸せの経済学’というものです。
先日 米プリンストン大学の研究で報告された内容をみると、暮らしに対する満足度を示す‘生活評価’の数値は、年収が多さに比例して上昇したが、昨日笑ったか、悩んだかなどの‘感情的幸福度’では年収7万5千ドル(630万円)位が頭打ちで、それ以上だとむしろ減少したという結果でした。最近の不景気を考えると、アメリカで年収7万5千ドルを、どう評価するかは微妙ですが、高年収を得るために使う時間、労力、精神的な負担など考えると納得できる結果かもしれません。2004から2005年度に大阪大学社会経済研究所で、日米の家庭に対しておこなわれた「幸福度と所得の関係」調査でも、「所得の低い層では、幸福度と収入は比例して増加するが、所得のかなり高い層では、収入の増加は幸福感とは相関しなくなる。」と同様な結果がでています。ただ、面白いのは、「他人の生活水準を意識する。」「お金をためることが人生の目的だ。」と答えた人ほど、日本では不幸でしたが、アメリカでは幸福だという違いでした。アメリカ社会では、人との競争や、お金をもうけることをポジティブに考える為でしょうか。
過去30年間で最も幸福度が上昇した国アメリカの雑誌「GOOD」の調査によると、過去30年間で最も幸福度が上昇した国は、韓国とインドでした。他の調査対象国が比較的、先進諸国が多いことを見れば、やはり、その間の経済成長率と関係していると考えると、そろそろ韓国の幸福度もピークに近づいているかも知れませんね。「人生に必要なものは、勇気と創造力。そして少しのお金。」(チャップリン)