地震・津波の発生後数日して、子供に、友人から以下のような携帯メールが届いていると言われました。「〇〇石油勤務の方からです。今回の火災・爆発により有害物質が雲に付着し、雨と一緒に降るので、外出の際は決して肌を露出しないでください!できるだけ多くの人にこのメールを回してください! 」これが所謂、‘チェーンメール’というものです。非常時で、皆が不安に感じ、且つ正確な情報が不足している状況下、まるで親切から特別な情報を流すかのように拡散を誘導します。だれの利益にもならず、社会が動揺するのを眺めて喜ぶ愉快犯の仕業でしょうか。勿論、単なる噂などから口コミに広がるうちに、真実のごとく伝わっていく、自然発生的なものもあり得ます。どちらにせよ、はっきりした根拠、発信源が不明なものは疑い、確認する努力をすれば問題にはなりませんが、信じやすい、ある意味純粋な一般の人たちに広がりとんでもない結果を生むこともあります。
関東大震災後に、「朝鮮人が井戸に毒を入れた。放火・暴動を起こしている。クーデターを起こそうと電信所を襲った。」などのデマが流れ、それに対して確認もしないまま新聞や一部警察までが拡散の役割をしてしまいました。ラジオの放送もまだ始まらない時代、震災で不安と困窮の中、情報を鵜呑みにした一部の官憲や一般庶民によって組織された自警団により、朝鮮人がリンチ・殺害された事件は、流言飛語の最も恐ろしい結末を示しています。私でも記憶にあるものでは、1973年のオイルショックの時、大阪のスーパーで、激安商品の販売促進のための「早く買わないと紙が無くなる。」と書いた広告が、当時 石油不足に対して不安を感じていた主婦層を刺激し、その後は全国でのトイレットペーパー買いだめに騒動へと広がりました。冷静に判断すれば、石油不足により値段高騰は多少あったとしても、直接的な流通とは因果関係が少なく、結果的に品不足ということもなかったでしょう。
原発事故がまだ完全に収束していない今、多くの外国人が、自国での報道、メール、電話で海外に逃避しようとする流れは、まだしばらく続きそうです。勿論それを見る日本の人々も内心安泰ではありません。しかし、それらの情報にもかなりのデマ的な要素が含まれているのも感じます。今こそ日本は国内外に向けての発信力、説明力が求められていると強く思います。
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