美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

原発と原爆

2011-04-14 11:54:30 | Weblog

大地震から3週間余り過ぎた今現在でも、その被害の大きさは把握さえできません。阪神淡路大震災でさえ、震災10日目の不明者は50人程度でしたが、今回の東北地方太平洋沖地震では、3週間後の現時点でも、警察に届け出があった不明者が17千人余、さらに把握できていない不明者は万人単位とも言われています。その地震と津波の猛烈な災禍に加え、国内外で人々を不安にしているのが原発事故です。

放射能被害に関しては、目で見えるものでも、すぐに体で感じるものでもないだけに、なおさら原爆のイメージとともに、漠然とした恐怖感を呼び起こします。関係者の必死の努力でようやく収束に向かいつつある福島原発事故ですが、一時は数日内で大爆発し、原爆が投下されたような事態が、起こるといった噂まで、流れました。そもそも、原爆と原発は、その仕組みから異なっています。どちらもウラニウムなどな不安定な物質の原子に、中性子をぶつけることで核分裂反応を起こし、その時にできる膨大なエネルギーを利用したものという点は共通です。異なるのは、原爆はウランの中でも核連鎖反応を持続させられるウラン235だけを高濃度に濃縮し、球状に敷き詰めることで一気に核連鎖反応させて、すべてのエネルギーを放出するように作られています。一方、原発のウラン235は低濃度で、それらが直線状に並べ、ゆっくり反応が起こるように水中に浸したうえ、制御棒で中性子を吸収させながらエネルギーを放出させようとするものですから、いくら暴走しても理論上、核爆発は起こりません。また、チェルノブイリで起きた事故は、核反応停止しない実験中に起きたもので、制御棒やその他の制御システムをほとんど解除した状態で起きました。また原子炉格納構造がほとんどないに等しかった点、そしてその後の対処がすべて秘密に行われ健康被害拡散予防が全く行われなかった点などが、この事故が人災と言われる所以です。

だからと言って、原発は安全で危険がないというわけでは決してありません。むしろ日本のような高い技術と、唯一の被爆国であるが為、安全性に十分な注意を払っていた国でさえ、想定外の事態では、このような事故が起こりうるということを、韓国などの、原発輸出国は、大きな教訓にしてもらいたいと思います。

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