今欧米を中心に韓国発の踊りと歌が流行しています。K-POPの韓流イケメン歌手とは異なり、小太りの男性歌手(PSY,サイ)がラップ調のリズムに合わせて‘馬ダンス’といわれる馬に乗っているようなコミカルな動きの踊りをしながら歌う「江南(カンナム)スタイル」です。プロモーションビデオが動画サイトユーチューブで紹介されたことで火が付き、現在までに全世界で3億5千万回再生されました。これはレディー・ガガが3年かかった記録を58日で塗り替えたと韓国紙ではやや興奮気味に伝えています。実際 全英シングル チャートでは1位を獲得、全米ビルボードでも2位とアジア人としては記録的なヒットになっています。
韓国ソウルで‘江南’地域といえば漢江の南側、具体的には江南区と瑞草(ソチョ)区一帯を総称する高級住宅街で韓国人にとっては富と成功の象徴ともいえる場所です。「江南スタイル」はここに住み活動する男女の少し気取ったライフスタイルを風刺した内容ですが、黒いサングラスに、上は高級スーツ、下は半ズボン、スニーカーといった出で立ちで美女たちや、子供まで登場して、乗りのいいリズムで踊りまくります。思いがけない大ヒットの理由を評論家たちはあれこれ分析していますが、世界中で受けたのは兎にも角にも不景気も悩みの吹き飛ばす理屈抜きに愉快で楽しい馬乗りダンスと歌ではないかと感じました。韓国人の踊り(チュム、춤)好きといえば、最近は道路交通法上規制されてめっきり少なくなったようですが、以前は韓国版演歌メドレーともいえる2拍子を基調に無数の歌が歌い継がれるポンッチャック(뽕짝)を長距離バスの中で流し続けながら田舎のアジュマ、アジョシたち腰を振り、肩を揺らして踊りながら走る‘ポンチャックバス’を高速道路で見かけそのパワーに圧倒されたものです。
ポンチャックとは別に韓国の伝統歌謡に、「ズン・チャッチャあるいはズン・チャッチャッチャ」といった3拍子、4拍子のものをトロット(트로트、trot)と言いますが、trotは本来馬の早足を意味する言葉です。楽しい時も辛い時も、歌が始まれば自然と「興」の域に気持ちが高まり、腰から肩から動き出すらまさに東洋のラテンの異名を持つ韓国民族の遺伝子が「江南スタイル」の馬ダンス(マル・チュム)にも受け継がれているのかも知れません。
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