海外のニュースで連日報道される内乱や戦争、テロ。映像から流れる悲惨な現状には誰もが胸を痛めます。ただ日本で暮らしている私たちにはどこか他人事と感じるのも事実でしょう。それに比べ、北朝鮮と未だ休戦状態にある韓国は徴兵制のもと軍は常に緊張状態にあります。しかし、そんな韓国の人々も実際の戦争を経験した人は年々減少し、戦乱後の復興や様々な貧困時代を知らない若者が社会の中心となっています。僅か70年ほど前の出来事、父親や祖父が懸命に生き抜いてきた時代、話しても理解されないことを知ってか語られずにきた過去が映画「国際市場で逢いましょう(原題 国際市場)」のテーマです。
昨年末に公開され観客動員1300万人以上という歴代2位の記録的ヒットとなった映画「国際市場で逢いましょう」の主人公は歴史上の英雄でも偉人でもない、ただ家族を守るために自らに鞭打って己の身を犠牲にして生きてきた父親たちの一人のです。映画の舞台となった釜山の国際市場。1945年日本の敗戦により韓国は独立、この地に居た日本人が立ち去る際に戦時統制物資を売り始め、当時は空き地であった場所に自然発生的に常設市場が生まれたのが始まりといわれます。そして1950年夏、朝鮮戦争が勃発し南下する人民軍によって瞬く間にソウルまで占領され、韓国軍はアメリカ軍の支援を受けて何とか釜山を臨時首都にして踏みとどりました。この時北部からの避難民が商売を始め、アメリカ軍の軍用物資を横流ししたものや釜山港を通して密輸したものなども売られる闇市的な市場として形成され、大きくなったとも言われます。避難中に離散した父に代わって子供の頃n家長として、母や弟妹を支え続けた主人公がベトナムに志願してでも守りたかった国際市場の小さな露店「コップニ(コップンの店)」。時代は現代となり再開発計画から周囲の店は立ち退く中、やはり頑なに一人古ぼけた店に執着する老いた彼は最後にその理由を妻に語ります。「未来志向の関係、過去に拘らないビジョン」そんなスローガンで通り過ぎるだけでは、本当の今そして未来が開かれるのではないことを私たちに気づかせてくれます。
話題の一つが東方神起のユンホ初の映画本格デビュー作でもあるとのこと。ベトナム戦争に技術者として遠征した主人公の命を救う海兵隊員役でなかなかですが、出演料は児童福祉機関に全額寄付と聞きさすがのナイスガイ振りです。日本では5月16日よりロードショーが決定ということです、是非「国際市場」で祖父母や両親が遺した今に逢いましょう!
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